ラット象牙芽細胞様細胞 (KN-3) におけるカテキンの抗炎症作用

DOI
  • 平尾 功治
    徳島大学大学院医歯薬学研究部 歯科保存学分野
  • 湯本 浩通
    徳島大学大学院医歯薬学研究部 歯科保存学分野
  • 細川 由樹
    徳島大学大学院医歯薬学研究部 歯科保存学分野
  • 蔵本 瞳
    徳島大学大学院医歯薬学研究部 歯科保存学分野
  • 鷲尾 絢子
    九州歯科大学口腔機能学講座口腔保存治療学分野
  • 中西 正
    徳島大学大学院医歯薬学研究部 歯科保存学分野
  • 武川 大輔
    徳島大学大学院医歯薬学研究部 歯科保存学分野
  • 北村 知昭
    九州歯科大学口腔機能学講座口腔保存治療学分野
  • 松尾 敬志
    徳島大学大学院医歯薬学研究部 歯科保存学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Anti-inflammatory Effects of Catechin on Rat Odontoblastic Cells (KN-3)

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抄録

<p> 目的 : 象牙芽細胞は歯髄の最外層に存在し, 齲蝕関連病原因子や機械的刺激・化学的刺激に対して, 初期に反応し, 歯髄組織の自然免疫に重要な役割を担っている. われわれは, ラット象牙芽細胞様細胞 (KN-3) に自然免疫レセプターであるnucleotide-binding oligomerization domein (NOD) 1が発現, 機能していることを報告しており, NOD1は歯髄炎の発症, 進展に重要な役割を演じている可能性がある. 緑茶カテキンの一種であるepigallocatechin-3-gallate (EGCG) は抗炎症作用を有することが知られており, NOD1リガンドならびに炎症性サイトカインの刺激を受けた象牙芽細胞に対するEGCGの抗炎症作用について解析することを目的とし研究を行った. </p><p> 材料と方法 : EGCGのKN-3に対する細胞障害性を, lactate dehydrogenase (LDH) cytotoxicity assayを用いて調べた. NOD1特異的リガンドであるγ-D-diaminopimelic acid (iE-DAP) やtumor necrosis factor (TNF) -α, interleukin (IL) -1βにてKN-3を刺激し, 同時にEGCGを作用させた後, real-time polymerase chain reaction (PCR), enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) を用い, ケモカインや炎症性メディエーターの発現や産生について解析を行った. </p><p> 成績 : 10μg/mlまでのEGCGはKN-3への細胞障害性を認めなかった. iE-DAPや炎症性サイトカインで刺激したKN-3に対して, EGCGはcytokine-induced neutrophil chemoattractant (CINC) -2やC-C motif chemokine ligand (CCL) 20といったケモカインの産生を有意に抑制し, その作用は濃度依存的であった. さらに, EGCGはinducible nitric oxide synthase (iNOS) のmRNA発現も抑制した. </p><p> 結論 : 今回の研究において, EGCGがNOD1リガンドならびにサイトカイン刺激におけるラット象牙芽細胞様細胞 (KN-3) の種々の炎症性反応を抑制することが明らかとなった. この結果は, EGCGの応用が, 新たな歯髄炎の抗炎症療法となりうる可能性を示唆するものである. </p>

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