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Abstract
【はじめに】近年、糖尿病の新たな治療法として骨格筋電気刺激(EMS)療法の報告がみられる。EMSの糖代謝に及ぼす生理的な急性効果としては、ウォーキングなどの運動療法と同様に骨格筋収縮による糖取り込み促進効果(血糖降下作用)が考えられる。そこで今回我々は、EMSとトレッドミル歩行後の血糖値変動の比較とトレッドミル歩行速度の違いによる血糖値の変化について若干の知見を得たので報告する。<BR>【対象と方法】健常成人16名(男性10名、女性6名、平均年齢26.4±3.8歳)を対象とした。EMSは深部到達度の高いとされる高位広帯域多重複合波(テクノリンク社製:テクトロンRegulus)を使用した。75gブドウ糖負荷試験と同様に、被検者は前日から最低10時間の絶食とし、糖負荷にはトレーランG75(味の素)を用いた。血糖値測定には小型血糖測定機(三和科学研究所社製:グルテストエースR)を使用した。実験は糖負荷後に1)30分間安静(安静群)、2)EMSを疼痛のない程度の最大強度で腹部・大腿部に30分間施行(EMS群)、3) 3.0km/hトレッドミルで30分間歩行(散歩群:平均心拍数89.6bpm、自覚的運動強度(以下RPE)7.8点)、 4) 6.0km/hトレッドミルで30分間歩行(速歩群:平均心拍数111.0bpm、RPE11.9点)、の計4回行った。各々の持続効果の影響を考慮し、各群は4日以上間隔を空けて実験を行った。1回の実験で空腹時血糖(FBS)、糖負荷後30分、60分、90分、120分の計5回血糖値を測定した。統計学的手法はWilcoxon符号付順位和検定を用いた。<BR>【結果】FBS、90分値、120分値の平均血糖値においては4群間で有意な差を認めなかった。30分値では安静群と比較してEMS群、散歩群、速歩群が有意に(p<0.01)低値を示した。また、速歩群は散歩群よりも有意に(p<0.01)低値を示した。60分値においては、安静群と散歩群に比べて速歩群が有意に(p<0.05)低値を示した。<BR>【考察とまとめ】30分値、60分値において速歩群は安静群、散歩群より有意に低値を示し、EMS群よりも低い傾向にあった。この理由として、速歩群は平均心拍数、RPEからみても他3群と比べてエネルギー需要が高く、また動員筋増加による骨格筋の糖取り込み総量が増えたためと考える。また、30分値、60分値においてEMS群は安静群や散歩群よりも低い傾向にあった。また速歩群より高値を示すが、EMS群のみ有意な差としては検出されなかった。この結果から急性の血糖降下作用という点においては、速歩には若干劣るもののEMSは散歩程度の運動と同等、またはそれ以上の血糖降下作用があることが示唆された。今後は、糖尿病患者を対象とした長期的な効果を検証し、EMSの臨床応用への基礎データを得ていく予定である。<BR>
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2005 (0), D0495-D0495, 2006
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
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Details
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- CRID
- 1390282680539542656
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- NII Article ID
- 110004994856
- 130004579429
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- NII Book ID
- AN10146032
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- HANDLE
- 2237/11757
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- ISSN
- 02893770
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- IRDB
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed