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Abstract
【目的】我々は先行研究において、培養骨格筋細胞に電気刺激を与えると、骨格筋細胞が肥大することを形態学的に示した。しかし電気刺激が、どのようにして筋肥大を引き起こすか、その分子メカニズムはわかっていない。一方、成長因子のひとつである insulin-like growth factor-1(IGF-1)刺激による筋肥大については、筋細胞の脂質キナーゼである phosphoinositide 3-kinase(PI3K)やタンパク質キナーゼである mammalian target of rapamycin(mTOR)を介して起こることが既に報告されている。そこで今回は、電気刺激による筋肥大においても PI3K や mTOR を介して肥大が引き起こされるかどうか検討した。<BR>【材料と方法】培養骨格筋細胞は、マウス骨格筋由来の筋芽細胞株 C2C12 を用いた。細胞外基質である collagen type I をコーティングした細胞培養皿に筋芽細胞を播種し、筋管細胞に分化させた。培養開始後 7 日目の筋管細胞に電気刺激を与えた。電気刺激条件は、100 Hz のバースト波、刺激持続時間 0.2 msec、刺激頻度 1 pulse / sec、電圧 50 V、刺激時間 1 時間 / 12 時間とし、合計 72 時間行った。また陽性対照として IGF-1(10 ng/ml)を培養液に投与し 72 時間刺激した。筋肥大の評価は各刺激後にギムザ染色を行い、筋管細胞の横径を測定した。さらに、電気刺激と IGF-1 刺激の各刺激前に PI3K の阻害剤である Wortmannin(500 nM)を培養液に投与して、同様の実験を実施することによりPI3K の関与を調べた。また mTOR の阻害剤である Rapamycin(20 ng/ml)を用い、mTOR の関与についても調べた。統計検定には一元配置分散分析の後、多重比較検定を用いた。<BR>【結果】筋管細胞の横径は、非刺激群(14.4 ± 3.1μm)に比べて電気刺激で 17.8 ± 4.0μm、IGF-1 刺激で 17.7 ± 4.0μm と有意に増大し(p < 0.001)、筋肥大が確認できた。各刺激による筋肥大は、Wortmannin の前投与により非刺激群と同レベルにまで抑制された(電気刺激 14.7 ± 3.1μm、 IGF-1刺激 15.2 ± 2.9μm)。また Rapamycinの前投与によっても、各刺激による筋肥大は非刺激群と同レベルにまで抑制された(電気刺激 14.5 ± 2.9μm、 IGF-1刺激 14.5 ± 3.4μm)。<BR>【考察】電気刺激による培養骨格筋細胞の筋肥大は、IGF-1 刺激による筋肥大と同様に、PI3K 及び mTOR を介することがわかった。今後、電気刺激による筋肥大に関わる分子メカニズムの解析をさらに進め、筋力増強、筋力低下の予防を目的とした科学的根拠に基づく治療方法の確立に繋げたい。<BR>
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2005 (0), A0619-A0619, 2006
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
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Details
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- CRID
- 1390282680540116736
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- NII Article ID
- 110004994980
- 130004578697
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- NII Book ID
- AN10146032
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- HANDLE
- 2237/11761
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- ISSN
- 02893770
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- IRDB
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed