ジョイントアプロキシメイションテクニックが即時的に下肢の動的制御機構に与える影響
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説明
【目的】運動療法の治療手技の一つとして固有受容性神経筋促通法がある。その特殊手技の一つとして、アプロキシメイションテクニックは、関節面を安定性させることを目的に選択されている。今回、アプロキシメイションテクニックを下肢に対して施行し、その前後での動的制御機構に与える即時<BR>効果について検討を行った。<BR><BR><BR><BR>【方法】対象は十分なインフォームドコンセントを取れた健常者男性13名・女性10名、平均年齢は、20.6±2.2歳。方法は立位姿勢を維持させ骨盤から下肢方向へアプロキシメイションテクニックを交互に1分間行った。被験者にはできるだけ対称的な姿勢をとってもらい揺れが少なくなるように指示した。測定にはゼブリス社製ゼブリス超音波方式3次元動作解析システム重心動揺計の下4隅にノルディスク社製エアスタビライザーを置き、その上にレイデルアンドクラッチ社製ベラフィットマットを置き、不安定な重心動揺測定をテクニックの施行前後で行い比較した。測定項目はX軸・Y軸方向への最大移動距離、総軌跡長、外周面積の変化とし、統計処理は対応のあるt検定を用い、有意水準は5%とした。<BR><BR><BR><BR>【結果】1)X軸方向への最大移動距離:施行前7.00±13.08cm施行後2.40±1.89cm 2)Y軸方向への最大移動距離:施行前8.20±7.90cm 施行後4.30±3.90cmで前後において有意差(P<0.05)が認められた。 3)総軌跡長:施行前41.00±46.90cm 施行後219.26±32.80cm 4)外周面積:施行前111.12±<BR>29.00cm2 施行後12.80±28.88cm2。<BR><BR><BR>【考察】今回の研究結果は、Y軸方向への最大移動距離の短縮が認められたことによって、アプロキシメイションテクニックによる下肢の関節面への圧縮刺激が、即時的に下肢の動的制御機構に影響を与えることができたと考えられる。柳沢らにより、関節面への圧縮刺激は固有受容器への情報量を増加させ脊髄前角細胞の興奮性を高めることが証明されていることから、抗重力筋への刺激が増大し活動性が高まったことによってY軸方向への移動距離が短縮したと考えられる。<BR><BR><BR>【まとめ】以上のことから、ジョイントアプロキシメイションテクニックは、関節の安定性を得るために有用であると考える。また、日常では静的なバランス能力よりも動的なバランス能力が必要な機会が多いため、今後も圧縮刺激と身体の動的制御機構についてさらに研究を進めたいと考える。<BR><BR><BR><BR>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2005 (0), A0648-A0648, 2006
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680540127488
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- NII論文ID
- 110004995009
- 130004578726
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- NII書誌ID
- AN10146032
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可