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大腿骨近位部骨折術後患者の受傷前歩行能力と術後歩行能力の変化

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Abstract

【はじめに】<BR> 2005年に作成された大腿骨頸部・転子部骨折(以下、近位部骨折)ガイドラインによると、近位部骨折術後患者の歩行能力の予後に影響を与える因子として、年齢、認知症および受傷前歩行能力があげられている。われわれの先行調査においても年齢や認知症の有無が転帰に影響を与えることが確認された。そこで今回われわれは、受傷前歩行能力に着目し、それが術後の歩行能力に与える影響について検討したので、その結果に若干の考察を加え報告する。<BR>【対象】<BR> 近位部骨折術後の患者で当院にて理学療法を施行し、平成17年1月から平成18年10月までの間に退院した59例を対象とした。内訳は頚部骨折21例、転子部骨折38例、男性11例、女性48例、平均年齢81±9.2歳であった。<BR>【方法】<BR> 受傷前歩行能力が、独歩もしくは杖使用にて独歩可能な群(以下、独歩群)44例と手すりやシルバーカーなどの補助具が必要であった群(以下、補助具群)15例の2群に分けた。2群間の年齢について比較するとともに、それぞれの群内において、受傷前歩行能力と術後退院時歩行能力の変化について比較した。<BR>【結果】<BR> 年齢については補助具群において有意に高かった(p<0.05)。術後歩行能力の変化については独歩群では、受傷前歩行能力と同様の歩行能力が獲得されたのは33例(75%)であった。歩行能力が低下したものが11例(25%)あったが、杖歩行が要介助となったもの5例(11%)、補助具使用にて要見守りが6例(14%)であった。補助具群では、受傷前歩行能力と同様の歩行能力が獲得されたのは7例(47%)であった。約半数に歩行能力の低下がみられ、要見守り1例(7%)、要介助2例(13%)、歩行不可にて車椅子となったものが5例(33%)であった。<BR>【考察とまとめ】<BR> 今回の調査結果から術後歩行能力の変化として、独歩群においては杖使用など軽度の能力低下は認めたものの、75%が受傷前とほぼ同様の歩行能力が獲得され自立に至った。しかし補助具群では約半数において歩行能力の低下がみられ、見守りや介助あるいは車椅子が必要となるものの割合が高くなる傾向がみられた。したがって、受傷前の歩行能力がより低いほど術後の歩行能力に与える影響がより大きくなることが示唆された。受傷前歩行能力のレベルの違いがゴール設定に影響を及ぼすことは諸家により報告されているが、今回の調査において、補助具群の年齢が独歩群に比べて有意に高かったことから、年齢が受傷前の歩行能力に影響を与えているとも考えられた。今後は年齢、認知症、受傷前歩行能力の3つの因子の関係についても検討していきたい。<BR>

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