The Meaning of Opening Class about Ealry Childhood Education and Care in Junior High School to Community

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  • 中学校家庭科の保育授業を地域にひらくことの可能性

Description

1. 1、研究の目的<BR>現在の中学生は、少子化によるきょうだい数の減少、核家族化や地域コミュニティの希薄化などから、異年齢間でかかわる機会が得られにくくなっている。そのため、幼児について理解することや幼児とのかかわり方を学ぶ場面が、自然に生じるとは言い難い現状である。しかし、中学校家庭科という必修の授業を通して、すべての生徒が幼児期とはどんな時代なのか、幼児とはどのようにかかわっていけばよいのかを学ぶ機会が得られる。また、同時に、自分の成長を振り返ると共に、育ててくれた親の存在に改めて気付くことができる。このような意義から、中学校家庭科の保育に関する授業への期待は高まっている。さらに、こうした授業は、子育てに悩む中学生や幼児のいる保護者達にも有効ではないかと考えた。学校を地域にひらくことが期待されている現在、家庭科の保育に関する授業を保護者にも公開することで、中学生だけでなく保護者へも幼児理解を広げることができるのではないだろうか。また、同時に中学生への理解も得られ、地域で共に生活する者同士のつながりも生まれる可能性が考えられる。本研究では、中学校家庭科の保育の授業を保護者に公開した効果について検討する。なお、「保護者」とは、中学生の保護者とともに地域の幼稚園に通う幼児の保護者も含めている。<BR>2、研究の方法<BR>研究対象: ・対象中学生 公立中学校3学年 6クラス<BR>・対象授業参観者 家庭科授業受講の3年生保護者(11名)と地元の幼稚園に通う園児の保護者30名<BR>授業内容:中学生の保護者と幼稚園の保護者に公開した授業は、遊びの中で用いられる幼児どうし会話や、幼児のいざこざへの保育者の介入場面である。この題材は生徒にも好評であり、将来の自分の子育てにもつなげたいと感想に書いている生徒が多い。<BR>保護者の感想:授業中は、保護者は教室の後に座ってもらい、授業後に感想をインタビューすると同時にアンケートにも記入してもらった。インタビューは、授業を参観しての感想と現在の子育ての不安に関する内容が中心であった。アンケートの内容は、中学生がこのような授業を受ける意義や育児中の自分が受ける意義について尋ねた。<BR>3、結果と考察<BR>中学生に対する感想:幼児の保護者は「照れが見られながらも次第にまじめに取り組み考えている様子が良かったです。なかなか鋭い意見をいう生徒もいてハッとしたりしました」という意見のように、肯定的に中学生の様子を受けとめていた。中学生の保護者は、他の教科との授業の違いも気が付いていたようで、「他の数学や国語の授業の時とは違うと感じました」「5教科と違って生徒の意見をより多くひきだしていた」という意見も見られた。<BR>自分の育児の中での位置づけ:中学生の保護者は「もっと早く学んでおけばよかった」とこの授業を子どもが幼い時に受けたかったという感想が見られた。幼児の保護者は、「とてもためになる内容でした。あらためて子ども同士のけんかに親は過剰反応するべきではないと思いました」というように、現在の子育てに生かしていける内容であることを述べていた。<BR>親として学んだこと:この授業を通して親として学んだことについて尋ねると、中学生の保護者は「子どもに考えさせるというのを忘れていました。つい親の言いたいことばかりを言っていました」と自分の育児を振り返るような感想が見られた。幼児の保護者は自分の子どもとのかかわりで大切にしなければならないことの理解が得られたという感想と、「幼児の言動については日々接していることなのですが、中学生を間近に見て予想以上に素直で安心しました」というように中学生に対する理解が得られたという感想が見られた。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680572266240
  • NII Article ID
    130006962626
  • DOI
    10.11549/jhee.52.0.1.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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