しゃがみ込み動作に着目して

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  • 腰痛症へのPNFアプローチ

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【はじめに】<BR>今回、先天性臼蓋形成不全が既往にある腰痛症患者を担当した。PNFを用いて股関節にアプローチを行い、しゃがみ込み動作の改善が図れたので報告する。<BR>    【初期評価】<BR>・疼痛:<BR>static:下位腰椎椎関関節周囲から多裂筋部  VAS3,1cm <BR> motion:脊柱屈曲時に多裂筋部VAS:3,2cm 伸展時に下位腰椎椎関関節周囲 VAS:5,2cm<BR> tenderness:多裂筋全体 VAS:4,4cm<BR>・整形外科test: Thomas test(+) Ober test(+)<BR>posterior-lumber flexibility test(+)<BR> ・ROM test:左股関節屈曲100°内旋:35°外旋:25°前屈:25° 後屈20°<BR>  SLR-test:右70°左55° ・MMT:左股関節4レベル  FFD:+15cm<BR> ・機能的制限:しゃがみ込み動作<BR> 【仮説】<BR>症例の機能的制限から、スクワッティングテストを実施した。その際、体幹直立位にてのしゃがみ込み動作となる。Gaillietらは腰椎-骨盤リズムにおいて、全脊柱屈曲の75%は腰仙部で可動すると報告している事から、体幹の屈曲-伸展は下位腰椎に依存する。症例は既往歴により、股関節周囲筋群の弱化と可動域制限が出現している。しゃがみ込み動作時、骨頭の安定化を高めるために股関節内旋をとり、長期に及ぶ下位腰椎の過可動性を必要とした為、椎間関節へのストレス軽減姿勢となる体幹直立位での動作になってきたと考える。そこで、股関節外旋筋の出力を高め、骨頭の安定化を得る事で、股関節の可動域拡大が図れ、腰椎への過剰な負担が減る事で、しゃがみ込み動作時の疼痛軽減が期待出来ると考えた<BR>【治療方法】<BR>仮説より、股関節外旋筋出力向上を目的として、PNFを使用した。方法として、側臥位骨盤前方挙上運動時、刺激に対する反応の広がりとして、下位腰椎屈曲・股関節屈曲が起る。それを利用し、運動側の股関節を90°屈曲位・下肢機能軸垂直位に固定する事で、体幹の収縮を伴いながらの股関節外旋筋収縮を促した。<BR>【結果】<BR>股関節外旋筋出力向上に伴い、股関節・骨盤の可動性も向上し、しゃがみ込み動作での疼痛軽減が図れた。<BR>【考察】<BR>先天性臼蓋形成不全に伴う股関節外旋筋群の弱化により、股関節共同筋間バランスの不均等が生じ、運動軸が変位した為に関節運動の不安定性が生じたと考える。その結果、腰椎―骨盤リズムが崩れ、しゃがみ込み動作時下位腰椎に過剰なストレスが生じ疼痛原因となっていたと考える。治療として、股関節外旋筋群と腹筋群の収縮を促す事で、骨盤帯を中心とした位置関係にある両筋群の機能を向上させ、骨盤帯の安定性と股関節の可動性が向上し腰椎―骨盤リズムが改善され、しゃがみ込み動作時の疼痛が軽減したと考える。<BR>

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680602013952
  • NII Article ID
    130006985492
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2010.0.347.0
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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