異種間移植した子ウシ精巣組織における伸長精子細胞及び成熟精子の形成
書誌事項
- タイトル別名
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- Successful spermatogenesis in the xenografted immature bovine testicular tissue.
説明
【目的】ブタでは、子ブタの未成熟な精巣組織をヌードマウスに異種間移植することにより成熟精子を形成させ、それを顕微授精に供することにより産子が得られている(Nakai et al., 2010)。本手法をウシに適用できれば、リスクを抱えたクローン及び組換えクローンウシ等の産子や胎子から正常な生殖細胞をレスキューし、直接的に後代を得ることが可能になると考えられる。しかし、ウシでは同様の方法により伸長精子細胞の形成は認められているが、成熟精子を得たとする報告は見あたらない。本研究では、月齢の異なる黒毛和種子ウシ精巣組織の異種間移植を試み、伸長精子細胞及び成熟精子の形成の有無を調べた。【方法】出生後、2週齢、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月及び6ヶ月齢の黒毛和種子ウシより精巣を摘出し、1~2mm角に細切した組織片を、去勢したICR-nu/nu雄マウス(チャールスリバー)の背部皮下に4カ所移植した。移植後、出生から6ヶ月、8ヶ月及び9ヶ月目に精巣組織を回収し、固定後、組織切片を作製してHE染色を施し、生殖細胞の成熟状態等を観察した。【結果】現在のところ、1ヶ月齢子ウシ由来精巣組織片を移植した例で、移植後7ヶ月(出生後8ヶ月)目で精細管の一部に伸長精子細胞の形成が観察され、さらに1ヶ月後(出生後9ヶ月)では成熟精子が確認された。対照として1ヶ月から8ヶ月齢の子ウシ精巣組織を観察したところでは、8ヶ月齢で成熟精子が観察されることから、移植精巣組織においても、若干遅れるものの生体内とほぼ同じ期間で精子が形成されることが判明した。
収録刊行物
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- 日本繁殖生物学会 講演要旨集
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日本繁殖生物学会 講演要旨集 105 (0), 1138-, 2012
公益社団法人 日本繁殖生物学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680692124544
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- NII論文ID
- 130005457707
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可