知覚的判断から推移律判断にもとづく系列化への変化過程 : 重さ課題を用いて

書誌事項

タイトル別名
  • Developmental Change in Strategies for Weight Seriation, from Perceptual Operations to Transitive Inferences
  • チカクテキ ハンダン カラ スイイ リツ ハンダン ニ モトヅク ケイレツカ エ ノ ヘンカ カテイ オモサ カダイ オ モチイテ

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説明

従来の系列化に関する研究では,双方向の可逆的な心内操作を行わなくとも成功できる課題が使用されていたために,知覚判断から推移律判断にもとづく系列化への変化のプロセスを明らかにできていなかった。そこで本研究では,視覚的手がかりが使用できない重さの系列化課題を新たに考案し,比較方略から予測される正答率と,実際の正答率を比較することで,その背景にどのような思考方略が使用されているかを考察する。それによって知覚的手がかりを用いる段階から,推移律にもとづく操作が可能になるまでの発達的変化のプロセスを明らかにする。対象は5歳児から12歳児および大学生であった。その結果,(1)知覚手がかりが利用可能な条件では7歳頃に,真の推移律を用いる必要がある条件では12歳頃に系列化が可能になる,(2)推移律にもとづく内的操作が可能になるためには,基準点を固定して双方向の比較を行う方略を利用できなければならない,さらに,真の推移律に至るまでには,1対比較による疑似測定,および「総あたり」による不完全な推移律の段階があることが見出された,(3)推移律判断が完成するにともなって,課題条件によって実行方略が使い分けられていた。この結果は,推移律にもとづく判断による段階に移行しても,使用方略はある方略から別の方略に入れ替わるのではなく,複数の方略が並行して使い分けられているというSiegler(1996)の重層波モデルに符合していた。

収録刊行物

  • 発達心理学研究

    発達心理学研究 21 (1), 23-35, 2010

    一般社団法人 日本発達心理学会

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