楽観性と悲観性がコーピング方略に与える影響 ―重要性の異なる2場面を設定した上での検討―

  • 渡辺 将成
    弘前大学大学院医学研究科神経精神医学講座 現所属:岐阜県知的障害者更生相談所
  • 長谷川 晃
    東海学院大学人間関係学部

書誌事項

タイトル別名
  • Influences of Optimism and Pessimism on Coping Strategies: Examining the Moderating Effect of Importance of Stressful Events
  • ラッカンセイ ト ヒカンセイ ガ コーピング ホウリャク ニ アタエル エイキョウ : ジュウヨウセイ ノ コトナル 2 バメン オ セッテイ シタ ウエ デ ノ ケントウ

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抄録

本研究は,楽観性と悲観性が重要性の異なる2つのストレス場面で選択されるコーピング方略とどのような関連があるのかを検討し,楽観性と悲観性の機能的な差異を明らかにすることを目的とした。145名の大学生が楽観性,悲観性,およびコーピング方略を測定する尺度に回答した。参加者は重要性の高い学業上のストレス場面と重要性の低い場面を想起しながらコーピング尺度に回答した。重要性の高い場面では,楽観性は計画立案,情報収集,肯定的解釈と正の相関が示された。また,重要性の高い場面と低い場面において楽観性と肯定的解釈の関連に差が認められ,楽観性が高い者は重要なストレス場面では積極的に肯定的解釈を用いるが,重要ではない場面ではそこまで肯定的解釈を行わず,認知的な資源を節約していることが示唆された。一方,悲観性は重要性の高い場面と低い場面の両方で選択される先延ばしと正の有意な相関が認められ,この関連は楽観性の影響を統制した場合でも有意であった。以上のようなコーピング方略との関連の差異が楽観性と悲観性を区別する特徴であると考えられる。

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