サル播種性血管内凝固症候群(DIC)モデルにおけるサイトカインストームの評価

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Evaluation of cytokine storms in a Disseminated Intravascular Coagulation monkey model

抄録

<p>敗血症は,感染症による全身性炎症反応症候群であり,炎症性サイトカインの過剰産生状態(サイトカインストーム)と考えられる.また,敗血症では高率にDICを合併すると言われ,DICによるサイトカインの変動を知ることは,動物モデルのヒトへの外挿性や治療薬による薬効を確認するために有用な情報が得られる.そこで本研究では,敗血症によるサイトカインストームのプロファイリングを目的とし,Lipopolysaccharide(LPS)誘発DICカニクイザルモデルにおけるサイトカイン類の変動を調べた.</p><p>カニクイザルの尾静脈から,LPS(2.4 mg/kg)を2時間かけて静脈内持続投与し,投与前,投与後2,4及び6時間に血清を採取し,サイトカイン類23項目をLuminexで測定した.また,超高感度オートELISA Simoa HD-1の有用性を検証する為に,ヒト用測定キットで交差反応性を示したIL-6を測定しLuminexの測定値と比較した.</p><p>その結果,DICでのサイトカインストームでは炎症性サイトカインのIL-6,IL-8,TNF-α,抗炎症性サイトカインのIL-10が顕著に上昇した.また,IL-1ra,IL-2,IL-5,IL-6,IL-15,IL-18及びIFN-γは持続的に上昇したが,IL-10,TNFα,IL-17A,MIP-1a及びMIP-1βは一過性に上昇した後,血中からの消失が早かった.SimoaによるIL-6の値は,Luminexより低値であったが同様の変動を示し,Luminexよりも100倍高希釈倍率での測定が可能であったことから,微量の試料で高感度に測定できることが検証された.</p><p>以上の通り,LPS誘発DICカニクイザルモデルを用いてサイトカインストームのプロファイルを解明できた.今回実施したサルでのサイトカインストーム測定法は,一部の抗体医薬品やCAR-T細胞治療等で重篤な副作用として危惧されるサイトカインストーム発生のリスク評価にも有用であると示唆された.</p>

収録刊行物

詳細情報

  • CRID
    1390282763129859328
  • NII論文ID
    130007677405
  • DOI
    10.14869/toxpt.46.1.0_p-145
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ