地域高齢者の健康習慣指数(HPI)と生命予後に関するコホート研究

書誌事項

タイトル別名
  • HEALTH PRACTICE AND TOTAL MORTALITY AMONG MIDDLE-AGED AND ELDERLY RESIDENTS IN SUKAGAWA, JAPAN
  • チイキ コウレイシャ ノ ケンコウ シュウカン シスウ HPI ト セイメイ ヨゴ ニ カンスル コホート ケンキュウ

この論文をさがす

説明

目的 地域高齢者における HPI(健康習慣指数:良い生活習慣の保有数)および生活習慣と死亡との関連を明らかにする。<br/>方法 福島県須賀川市の地域住民を対象としたコホート研究を実施した。ベースライン調査として,「69歳以下群(40~69歳)」および「70歳以上群」の 2 群から 3 分の 1 抽出した8,746人および2,718人に,自記式調査票による郵送調査を行った。調査時期は,69歳以下群は平成13年 2 月,70歳以上群は同 7 月とした。質問項目は,身長,体重,Breslow の 7 つの生活習慣(BMI,睡眠時間,喫煙,飲酒,朝食,運動,間食),疾病の有無(脳卒中,高血圧,狭心症・心筋梗塞,心や精神の病気),健康度自己評価,閉じこもりの有無(70歳以上群のみ)とした。69歳以下群の有効回答者5,657人(64.7%),70歳以上群の有効回答者2,019人(74.3%)について住民基本台帳に基づき死亡・転出状況を確認した。観察期間は,69歳以下群は 3 年 7 か月,70歳以上群は 3 年 3 か月とした。7 つの生活習慣の各項目および HPI と観察開始 1 年以降 2 年以内の死亡とのクロス集計,および,Kaplan-Meier 法による累積生存率の測定とコックスの比例ハザードモデルによる多変量解析を行った。HPI は,睡眠,BMI,運動,喫煙,飲酒の 5 習慣の得点を合計した。<br/>成績 1. クロス集計結果では,69歳以下群では,個々の生活習慣および HPI と死亡に有意な関連はみられなかった。70歳以上群では,HPI と運動について習慣良好群で有意に死亡者の割合が低かった。2. 70歳以上群では,HPI が高い群は累積生存率が有意に高かった。コックスの比例ハザードモデルによる多変量解析では,69歳以下群では,HPI と死亡に有意な関連はみられなかった。70歳以上群では,HPI が高い群の死亡のリスクが有意に低かった。他の変数のうち,死亡と有意な関連がみられたのは,年齢,性,健康度自己評価,閉じこもりの有無であった。また,HPI に代えて 7 つの生活習慣の各項目を投入すると,70歳以上群では,7 習慣のうちでは運動のみが,死亡と有意な関連がみられた。<br/>結論 1. 高齢者で良い生活習慣を保持することが生命予後を良くする。2. 生命予後を予測する指標として HPI という概念は有用である。3. 生命予後を良くするために運動と閉じこもりの防止が重要である。

収録刊行物

被引用文献 (7)*注記

もっと見る

参考文献 (26)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ