大分県産スギ材の強度特性(第2報) : 製材品の曲げ強度性能

書誌事項

タイトル別名
  • Strength Properties of Sugi (Cryptomeria Japonica) Grown in Oita Prefecture (II) : Bending Strength Performance of Lumber
  • オオイタケンサン スギザイ ノ キョウド トクセイ ダイ2ホウ セイザイヒン ノ マゲ キョウド セイノウ

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説明

大分県産スギ丸太から製材した構造用製材品の実大曲げ試験を行い、その強度性能と材質因子の関係を検討するとともに、丸太から製材品に至る過程でのヤング係数の変動についても検討を行った。得られた結果は以下のとおりである。1.スギ正角材のMOE(A)は7.86kN/mm2(CV:20.8%)、MOR(A)は40.3N/mm2(CV:18.8%)で、MOR(A)の5%下限信頼限界値は27.3N/mm2であった。一方、スギ平角材のMOE(A)は8.12kN/mm2(CV:20.6%)、MOR(A)は47.7N/mm2(CV:21.0%)で、MOR(A)の5%下限信頼限界値は31.1N/mm2であった。正角材、平角材とも建設省告示に定めるスギ無等級材の基準強度を上回った。2.JASによる強度等級区分において、目視等級区分と機械等級区分の有効性が正角材、平角材の両者で示されたが、目視等級区分と機械等級区分を比較すると、後者の方が等級ごとのバラツキが小さく、またヤング係数が明らかな点から優れている。3.材質因子と強度性能の関係において、正角材、平角材ともMOR(A)はMOE(A)と最も高い相関を示した。また、節との関係では、集中節径比との間に有意性は認められるものの、その相関係数の値は小さく、実大製材品の強度に及ぼす節の影響は正角材、平角材とも小さいことがわかった。4.動的ヤング係数は丸太段階から製材後の生材状態で大きく減少し、丸太の動的ヤング係数(Efrl)に対する生材状態の製材品の動的ヤング係数(Efrg)の比(Efrg/Efrl)は正角材で0.77(CV:16.4%)、平角材で0.91(CV:10.1%)を示した。この低下には製材木取り法や未成熟材部の割合などが関与すると考えられた。一方、生材状態の製材品の動的ヤング係数(Efrg)に対する乾燥後の製材品の動的ヤング係数(Efrd(15))の比(Efrd(15)/Efrg)は正角材で1.13(CV:3.6%)、平角材で1.19(CV:2.8%)となり、乾燥により動的ヤング係数は増加した。また、Efrd(15)と曲げ試験で得られたMOE(A)の間には高い相関が認められ、Efrd(15)からMOE(A)の推定が可能であることがわかった。5.正角材と平角材を含む全製材品においても、MOE(A)とMOR(A)の間には高い相関が認められ、MOE(A)からMOR(A)の推定が可能であることがわかった。また、全製材品のMOR(A)の5%下限信頼限界値は27.1N/mm2となり、MOR(A)は建設省告示に定めるスギ無等級材の基準強度を上回り、MOE(A)の5%下限信頼限界値は4.81kN/mm2となり、MOE(A)はJASの機械等級区分の最低等級に相当した。また、ヤング係数を基準としたJASの強度等級区分は基準強度に概ね適合し、これは大分県産スギ製材品を機械等級区分して使えば、強度性能上合理的な利用が可能なことを示唆している。

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