ウランバートル市の「起源」 : モンゴルにおける社会主義/ポスト社会主義の歴史叙述

書誌事項

タイトル別名
  • The "Origin" of Ulaanbaatar City : The Historiographies in Socialist and Post-Socialist Mongolia
  • ウランバートルシ ノ キゲン モンゴル ニオケル シャカイ シュギ ポスト シャカイ シュギ ノ レキシ ジョジュツ

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説明

「大きな物語」の衰退や、「歴史の終わり」が叫ばれてすでに久しい。人類学においても冷戦後の世界を多様性の相において捉えようとする試みがなされてきた。ギアーツのいう「分散する世界」や、場所/非-場所という対概念によって「同時代世界」を捉えるマルク・オジェの試みはその代表的なものである。オジェはその「新たな」世界の例として個人・宗教・都市の三つを挙げている。本稿は旧社会主義圏に位置するモンゴル国の首都・ウランパートル市をとりあげ、その「起源」およびそこからの連続性が社会主義、ポスト社会主義時代の歴史叙述においてそれぞれどのように語られているかを考察することによってポスト社会主義時代の「場所」の可能性を社会主義時代の言説との関係性において検討するものである。ウランパートル市の「起源」は社会主義時代に発見された。社会主義時代の歴史家・ドゥゲルスレンはそれを都市への発展によって否定されるべき遊牧的「起源」として描いている。一方、ポスト社会主義時代の歴史叙述において、その「起源」はそこからの連続性を確保すべき準拠点として位置づけられる。本稿はこの転換を、悲連続性志向から連続性志向への転換として図式化するにとどまらず、両者の関係性を具体的にあとづける。

収録刊行物

  • 年報人間科学

    年報人間科学 26 237-258, 2005-03-31

    大阪大学大学院人間科学研究科社会学・人間学・人類学研究室

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