北海道方言における"V-(r)asar-"構文の意味に関する記述的研究 : 認知文法からのアプローチ

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タイトル別名
  • A Study of the "V-(r)asar-" Construction in the Hokkaido Dialect of Japanese: From the Perspective of Cognitive Grammar
  • ホッカイドウ ホウゲン ニ オケル"V-(r)asar-"コウブン ノ イミ ニ カンスル キジュツテキ ケンキュウ : ニンチ ブンポウ カラ ノ アプローチ

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説明

本稿では、北海道方言におけるV-(r)asar-構文について、認知文法の理論的枠組みを援用し分析を行った。当該構文に対する従来の研究は、用法の分類が安定せず、それらの共通性を捉えた分析も十分に行われているとはいい難い。そこで本稿では、他動詞派生のV-(r)asar-構文を「因果的事態における結果事象をプロファイルする」ものとして特徴づけた氏家(2016)を検討したうえで、自動詞派生のV-(r)asar-構文を、外的な要因が作用することにより生じた事態における、対象の変化と結果状態をプロファイルする構文であると特徴づけた。さらに、上述の特徴づけを踏まえ、早津(2016)による動詞の分類を導入し、当該構文において用いられ得る動詞について、その意味的特徴および生産性について検討を行った。その結果、語幹動詞の概念構造がスキーマ的特徴づけに逸脱しない範囲であれば、様々なタイプの動詞が生産的にV-(r)asar-構文として実現しうることが明らかとなった。自動詞から派生された形式も含め包括的に分析することにより、従来は他動詞派生の用法が取り上げられることの多かった当該構文の研究に新たな知見を提供することを目指す。

収録刊行物

  • 言語科学論集

    言語科学論集 25 15-46, 2019-12

    京都大学大学院人間・環境学研究科言語科学講座

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