レーザードプラー血流計による高齢者の末梢循環の数量的解析

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  • レーザードプラー ケツリュウケイ ニ ヨル コウレイシャ ノ マッショウ ジュンカン ノ スウリョウテキ カイセキ

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抄録

糖尿病や閉塞性動脈硬化症(ASO)の患者に合併する難治性潰瘍や壊疸の予知,予防を目的として高齢者の末梢循環の観察を行った. 下肢に冷え症,しびれ感,神経痛,歩行障害等を有し温泉療法を希望した患者21例(年齢58-78歳,平均年齢71.4歳)について,下肢の末梢循環障害の程度をレーザードプラー血流計を用いて評価した。測定は20℃冷水負荷後30分後に,末梢皮膚血流量について測定を行った。 レーザードプラー血流計で得られた結果は左右足趾始起部5カ所,計10カ所の平均値で表した。7例については1年後に再測定を行った.14例についてはプロスタグランディン製剤(ベラプロスト)を投与し3ケ月後に再測定を行った。 1.自然経過群の7例(平均年齢73.0歳)は初回測定時の血流量は1.82±0.98であった。2回目測定時は1.59±0.40であった。血流量の低下傾向を認めたが有意差を認めなかった。 2.一方,ベラプロスト内服群の14例(平均年齢70.6歳)は初回測定時の血流量は1.27±0.35であった。2回目測定時には1.62±0.51であった。血流量の増加を認めた(P<0.0002)。 3.両群について,3ヶ月当たりの変化率で比較したところ自然経過群は3ヶ月当たり-1.7%の低下傾向を示した。一方,ベラプロスト内服群は+15.4%の増加(p<0.02)を示 した。 4.プロスタグランディン製剤の内服中であっても加齢と共に末梢循環血流Iが低下する症例があり温泉療法を含めた集学的治療の必要性が示唆された。

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