残存する視覚症状に対して血漿交換が有効であった抗myelin oligodendrocyte glycoprotein抗体関連疾患の男児例

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  • Effective plasmapheresis treatment of intractable visual symptoms of MOG antibody-related disorders

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抄録

<p> 抗myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG)抗体関連脱髄性疾患は一般にステロイド剤に対する反応が良好とされているが,初期治療に反応しない症例や症状の改善が不十分な症例に対する治療方針は定まっていない.症例は12歳の男児.左眼の眩しさと右側表情筋の動かしづらさ,排尿困難を認め,脳MRIで大脳皮質および大脳皮質下白質に多発性病変を認めた.急性散在性脳脊髄炎と診断し,メチルプレドニゾロンパルス療法(intravenous methylprednisolone pulse;IVMP)を開始した.視覚症状はIVMP 3クール(1クール:1g/day 3日間)と免疫グロブリン大量療法(1g/kg/回)でも改善を認めなかった.後日,抗MOG抗体陽性(血清2,048倍,髄液64倍)が判明し,抗MOG抗体関連疾患と確定診断した.血漿交換療法を3回施行し,IVMPを1クール追加したことで視覚症状は改善傾向となった.再発予防のためprednisoloneによる後療法を実施,7か月をかけて漸減中止した.現時点で発症後1年8か月が経過しているが,症状の再燃は認めていない.抗MOG抗体関連疾患において,視覚症状は多くみられる後遺症である.本症例では,血漿交換療法後に視覚症状の改善が認められており,視神経炎症例でIVMP後も症状が残存する場合はフリッカー値なども参考にしながら血漿交換療法の追加を考慮する必要がある.</p>

収録刊行物

  • 脳と発達

    脳と発達 54 (6), 421-425, 2022

    一般社団法人 日本小児神経学会

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