ウィズコロナにおける勤労者の腰痛の変化とプレゼンティーズムとの関連

  • 白土 大成
    鹿児島大学大学院保健学研究科 JCHO熊本総合病院リハビリテーション部
  • 牧迫 飛雄馬
    鹿児島大学医学部保健学科
  • 赤井田 将真
    鹿児島大学大学院保健学研究科 鹿児島大学医学部保健学科
  • 生野 佐紀
    鹿児島大学大学院保健学研究科 垂水市立医療センター垂水中央病院
  • 椎葉 竜平
    鹿児島大学大学院保健学研究科 垂水市立医療センター垂水中央病院
  • 谷口 善昭
    鹿児島大学大学院保健学研究科
  • 富岡 一俊
    垂水市立医療センター垂水中央病院
  • 木内 悠人
    鹿児島大学大学院保健学研究科
  • 立石 麻奈
    鹿児島大学大学院保健学研究科 鹿児島大学医学部保健学科
  • 中井 雄貴
    第一工科大学機械システム工学科

Description

<p>【はじめに、目的】</p><p>勤労者の健康上の問題として腰痛があり、腰痛はプレゼンティーズム(健康上の問題による労働遂行能力の低下)を引き起こす要因のひとつとされている。COVID-19の流行はテレワークの導入など働き方に大きな変化をもたらしており、勤労者の腰痛やプレゼンティーズムに影響を与えている可能性がある。これらを検討し対策に結び付けることは産業理学療法の領域において重要である。本研究はCOVID-19流行前後における勤労者の腰痛の変化とプレゼンティーズムとの関連を明らかにすることを目的とした。</p><p>【方法】</p><p>本研究は、2020年10月に実施したオンライン調査による横断研究である。40-64歳の勤労者1865名(平均年齢49.6 ± 6.6歳、女性29.1%)を解析対象とした。腰痛の変化は、COVID-19流行以降に痛くなり始めた、悪くなった、変化しなかった、良くなった、腰痛なしから択一式にて調査した。痛くなり始めた、悪くなったと回答した者を腰痛悪化とした。労働生産性はWork Productivity and Activity Impairment Questionnaireを使用し、2019年10月、2020年10月の2時点におけるプレゼンティーズムを評価した。プレゼンティーズムを0点(仕事への影響なし)から10点(完全な仕事の妨げ)の11段階で評価し、先行研究に準じて1点以上をプレゼンティーズムありとした。COVID-19流行前の2019年10月時点でプレゼンティーズムなしの1328名(流行前プレゼンティーズムなし群)と同時点でプレゼンティーズムありの537名(流行前プレゼンティーズムあり群)の2群に分類した。コロナ禍の2020年10月時点でプレゼンティーズムのスコアが上昇していれば、流行前プレゼンティーズムなし群はプレゼンティーズム発生、流行前プレゼンティーズムあり群はプレゼンティーズム悪化とした。各群で従属変数を2020年時点でのプレゼンティーズム発生あるいは悪化、独立変数を腰痛悪化とし、腰痛の変化とプレゼンティーズムとの関連を検討した。共変量には年齢、性別、独居、教育歴、うつ病の既往、産業分類、勤務形態の変化(テレワーク)を投入した。</p><p>【結果】</p><p>流行前プレゼンティーズムなし群の102名(7.7%)に腰痛悪化、117名(8.8%)にプレゼンティーズム発生を認めた。また、流行前プレゼンティーズムあり群の107名(19.9%)に腰痛悪化、139名(25.9%)にプレゼンティーズム悪化を認めた。共変量で調整したロジスティック回帰分析の結果、それぞれの群において腰痛悪化は独立して2020年時点のプレゼンティーズム発生(OR:4.26、95%CI:2.41-7.52)あるいは悪化(OR:1.80、95%CI:1.07-3.01)と有意に関連していた。</p><p>【結論】</p><p>COVID-19の流行は一部の勤労者の腰痛を悪化させている可能性があり、腰痛悪化とプレゼンティーズムとの関連が示唆された。今後は感染症流行下において、身体機能や人間工学の知識を有する理学療法士が腰痛対策を行うことの有効性を検証する必要がある。</p><p>【倫理的配慮、説明と同意】</p><p>本研究は、ヘルシンキ宣言および人を対象とする医学系研究に関する倫理指針に基づき、対象者のプライバシーおよび個人情報の保護、研究内容について十分に説明し対象者から同意を得た。また、鹿児島大学疫学研究等倫理委員会からの承認(200101)を得て実施した。</p>

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