「隔離」と「療養」の間で——コロナの時代に考える近代日本のハンセン病史——
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- 廣川 和花
- 専修大学
書誌事項
- タイトル別名
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- Reconsidering the Modern Japan’s History of Hansen’s Disease in the Era of COVID-19: With a Focus on the Multiple Meanings of “Isolation”
説明
<p>20世紀初頭までに日本の感染症政策領域において「隔離」と「療養」の語法が成立した。1907年の制定以来、ハンセン病対策法に「隔離」の語はなく、1996年の法廃止までの間の政策の内実の振れ幅は大きかったが、今日ではハンセン病は「隔離」政策と一体のものとして社会的に認識されている。こうした認識形成の淵源は、戦後のハンセン病患者運動(全患協運動)に見出せる。全患協は強い批判を込めて国のハンセン病対策を「隔離」政策と位置づけ、「隔離」による損失の「補償」としての「療養権」の拡張を求めた。これに対し、ハンセン病国家賠償請求訴訟原告団が提示した歴史像は、国による誤った政策が差別を強化したことを強調し、「隔離」による「被害」を前面に押し出した。原告団の説明モデルは今日広く人口に膾炙しているが、「隔離される客体」を「療養する主体」へと読み替えた全患協運動の歴史にこそ、感染症のスティグマを乗り越えるための教訓を見出せよう。</p>
収録刊行物
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- 保健医療社会学論集
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保健医療社会学論集 33 (2), 17-25, 2023-01-31
日本保健医療社会学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390299705004012800
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- ISSN
- 21898642
- 13430203
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可