生体肝移植症例における、低MELD患者の術後成績および術後短期グラフトロスリスク因子の解析

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説明

<p>【背景】 生体肝移植(LDLT)においてMELD高値は予後不良とされるが、MELD低値症例においてもグラフトロスをきたすことがあり注意を要する。低MELD症例におけるグラフトロスリスク因子に関する報告は少ない。【目的】 低MELD症例における術後成績及びグラフトロスのリスク因子を同定すること。【対象と方法】 1998年から2024年までに当院でLDLTを施行した低MELD(MELDスコア≦15)症例の術後成績を検討し、LDLT術後3ヶ月以内グラフトロスの予後不良因子を評価した。【結果】 低MELD症例は838症例中408例(48.7%)に認めた。低MELD群、高MELD群の1年/5年生存率はそれぞれ91.5/84.1%と86.5/77.9%であり、低MELD群は予後良好であった(p<0.05)。3ヶ月以内グラフトロスに関して、多変量解析で手術関連合併症(p<0.01, HR 7.46, 95% CI 2.35-23.7)、ドナーBMI≧25(p<0.01, HR 4.97, 95% CI 1.53-16.2)、脾臓摘出なし(p<0.05, HR 3.48, 95% CI 1.14-10.6)が独立予後不良因子であった。手術関連合併症では、肝動脈血栓症(44.4%)、術後出血(33.3%)、腸管穿孔(11.1%)などによりグラフトロスをきたしていた。上記3因子の該当数によって予後は層別化され、3ヶ月以内グラフトロスは1因子では7.3%、2因子以上では17.5%であった(p<0.01)。【結語】 低MELD症例における予後不良因子を同定した。手術関連合併症の減少が予後改善に重要と考えられ、現在当科でも安全性に留意する手術に取り組んでいる。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 59 (Supplement), s319_2-s319_2, 2024

    一般社団法人 日本移植学会

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