書誌事項
- タイトル別名
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- Posterior reversible encephalopathy syndrome in post-lumbar puncture headache in normotensive pregnancy
- 症例報告 表腰椎穿刺後頭痛に引き続いて発症し,診断に苦慮した可逆性後白質脳症症候群(PRES)の1例
- ショウレイ ホウコク ヒョウ ヨウツイ センシ コウトウツウ ニ ヒキツズイテ ハッショウ シ,シンダン ニ クリョ シタ カギャクセイ ゴ ハクシツ ノウショウ ショウコウグン(PRES)ノ 1レイ
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説明
<p>可逆性後白質脳症症候群(posterior reversible encephalopathy syndrome;PRES)は頭痛や痙攣を主症状とする脳症である.機序としては高血圧などによる血管内皮細胞障害と脳血液関門の破綻による血管原性脳浮腫が有力とされ,腰椎穿刺後頭痛(post-lumbar puncture headache;PLPHA)とPRESの間には明確な関連性は報告されていない.今回,妊娠中の血圧は正常にもかかわらず,PLPHAに続発し鑑別診断に苦慮したPRESの症例を経験した.患者は41歳,3妊1産,妊娠中の血圧は正常域であった.既往帝切後妊娠のために脊椎くも膜下・硬膜外麻酔で帝王切開を施行後,術後3日目より頭痛が出現した.神経症状はなく,他疾患は否定的であったためPLPHAと診断,保存的加療の方針とした.翌日痛みは軽快したが,5日目に再燃,重症域の高血圧も出現した.妊娠高血圧腎症を示唆する所見を認めず,頭痛による一過性の血圧上昇と考え,6日目にカフェインの投与を開始したが頭痛は軽快せず,7日目に強直間代性痙攣を生じた.痙攣頓挫後に撮影した頭部MRIの所見からPRESと診断し,硫酸マグネシウム,ニフェジピンの投与を開始したところ頭痛は軽快した.その後も頭痛や痙攣の再燃なく経過したが,9日目のMRIで脳血管攣縮を認めたためロメリジンを追加し,脳血管攣縮の改善を確認後25日目に退院した.本症例は,当初PLPHAに矛盾しない臨床像だった.一方,5日目からの頭痛は体勢変換や鎮痛剤投与でも軽快しないなど腰椎穿刺後頭痛として非典型的な点もあり,PRESを考慮すべき症状と考えられた.本症例ではPRESを発症した原因は不明であるが,PLPHAによる疼痛から血圧変動をきたしたこと,カフェインの使用などが考えられた.それまで正常血圧の患者が高血圧をきたしたり,保存的加療に反応しないなど,腰椎穿刺後頭痛として典型的でない頭痛を呈した場合は,PRESの可能性を考慮する必要があることが示唆された.〔産婦の進歩70(3):311-316,2018(平成30年8月)〕</p>
収録刊行物
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- 産婦人科の進歩
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産婦人科の進歩 70 (3), 311-316, 2018
近畿産科婦人科学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390564238026248832
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- NII論文ID
- 130007493663
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- NII書誌ID
- AN00099490
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- ISSN
- 13476742
- 03708446
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- NDL書誌ID
- 029191501
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDLサーチ
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可