災害による避難を経験した地域在住高齢者の精神的健康度に関連する因子の探索
Bibliographic Information
- Other Title
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- -身体活動および身体活動規定因子に着目して-
Description
<p>【はじめに、目的】東日本大震災および東京電力福島第一原子力発電所事故(原発事故)の被災者、特に高齢者では避難による生活の変化にさらされ、精神的健康度の低下をきたしやすいことが解決すべき健康問題の1つとしてあげられる。定期的な運動実践には肯定的な感情の改善効果があるとされており、避難高齢者の身体活動を促進させるヘルスプロモーションは有益である。本研究では、東日本大震災および原発事故により避難を余儀なくされた高齢者の精神的健康度に関連する因子を、身体活動量および身体活動規定因子に着目して探索した。それにより、予防理学療法の手段として多く用いられる、身体活動促進を目的とした介入を通して対象者の精神的健康度の向上させるための有効な戦略を検討することを目的とした。</p><p>【方法】対象は、原発事故後に避難を経験した福島県A市に在住する65歳以上の男女34名(男性6名、女性28名、年齢73.9±5.8歳)であり、調査は2018年1月から2月に実施した。精神的健康度の尺度にはWHO-5 精神健康表日本語版(WHO–5–J;25点満点)を用いた。身体活動量の指標は連続7日間の1日平均歩数とし、デジタル万歩計EX-300(山佐時計計器株式会社)を用いて測定した。その他、身体活動の関連因子として、運動セルフエフィカシー(肉体的疲労・精神的ストレス・時間のなさ・悪天候、の運動実践が困難になる各状況下で運動する自信があるかを5件法で求め、20点満点で評価)と自宅周辺運動環境の認知(自宅用具・施設へのアクセス・近隣の安全性・景観・役割モデルの各観点で、自宅周辺に身体活動実践のための環境が整っていると感じるかを「はい」、「いいえ」の2件法で求め、5点満点で評価)を算出した。統計解析には、WHO–5–Jのスコアを従属変数、年齢・性別・1日平均歩数・運動セルフエフィカシー、自宅周辺運動環境の認知を独立変数とした重回帰分析を用いた。有意水準は5%とした。</p><p>【結果】WHO–5–Jのスコアの平均値は16.9±4.3点であった。ステップワイズ法による重回帰分析の結果、精神的健康度の関連因子として自宅周辺運動環境の認知(標準偏回帰係数β=0.386、p=0.024)が抽出された。さらに、年齢・性別・自宅周辺運動環境の認知の各項目を独立変数として強制投入したところ、分散分析でp=0.176となり、モデルの有意性が認められなかった。</p><p>【結論】本研究では因果関係の断定は困難だが、精神的健康度の高い者は、居住地の周辺環境が「身体活動の実践に適している」と評価する傾向が示された。一方、身体活動量と精神的健康度の関連は認められず、趣味活動やサロンのような社会参加などの高い身体活動量を伴わない活動が精神的健康に及ぼす影響も考慮する必要がある。サンプルサイズが小さいという限界はあるものの、避難高齢者の精神的健康度の向上には、居住地周辺で運動を実践するための具体的な方法を提示することなどが有効である可能性が示唆された。【倫理的配慮,説明と同意】本研究は福島県立医科大学倫理委員会の承認を得たうえで実施した(一般29155)。また、本研究はヘルシンキ宣言を遵守して行い、研究への参加にあたり対象者には研究の趣旨を説明し、書面にて同意を得た。</p>
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 46S1 (0), C-70_1-C-70_1, 2019
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390564238110807424
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- NII Article ID
- 130007692764
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed