ワーファリン内服患者における頭蓋内出血に対する人プロトロンビン複合体製剤の使用経験

書誌事項

タイトル別名
  • Utility of four–factor prothrombin complex concentrate for rapid vitamin K reversal in patients with intracranial hemorrhage
  • ワーファリン ナイフク カンジャ ニ オケル ズガイ ナイシュッケツ ニ タイスル ヒト プロトロンビン フクゴウタイ セイザイ ノ シヨウ ケイケン

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説明

<p> 【背景】頭蓋内出血の治療においては,速やかな抗凝固療法の中和が重要である.2017年9月よりワーファリンの阻害剤として人プロトロンビン複合体製剤(4F‒PCC)が使用可能となり,今回我々はその使用経験を報告する.【対象と方法】2017年9月から2018年10月に,頭部外傷,脳卒中に伴う頭蓋内出血に対して人プロトロンビン複合体製剤を使用した18症例(平均年齢74.1±17.2歳,男性11名,女性7名)を対象に検討を行った.内訳は急性硬膜下血腫が4例,慢性硬膜下血腫が3例,脳出血が10例,くも膜下出血が1例で,後方視的に,4F‒PCC投与前後のPT‒INRの変化,画像上の血腫増大の有無,手術合併症の有無に関して検討した.【結果】4F‒PCC投与前後のPT‒INRの平均はそれぞれ2.94±1.26,1.35±0.27であり,投与後に有意に低下した(p<0.001).また新鮮冷凍血漿(FFP: fresh frozen plasma)を投与した症例が2例,ビタミンKを投与した症例が9例であった.外科的加療は10例に行われたが,後出血はなく,保存治療例8例に関しても画像上の血腫増大は見られなかった.また全症例において明らかな4F‒PCCに伴う合併症は指摘されなかった.【考察と結語】ワーファリン内服中の頭蓋内出血症例において,4F‒PCCが有意にPT‒INRを低下させ,手術症例,保存例いずれにおいても十分な止血を得られた.4F‒PCCの併用によって抗凝固療法患者の頭蓋内出血の止血が,より安全で確実に行える可能性が示唆された.</p>

収録刊行物

  • NEUROSURGICAL EMERGENCY

    NEUROSURGICAL EMERGENCY 25 (1), 69-74, 2020

    特定非営利活動法人 日本脳神経外科救急学会 Neurosurgical Emergency

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