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日常生活での運動を再考する
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- 牧迫 飛雄馬
- 鹿児島大学医学部保健学科理学療法学専攻基礎理学療法学講座
Bibliographic Information
- Other Title
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- ─運動量さえ増えればいいのか?─
Description
<p> 日常生活において,運動によって身体活動を促進することは,全世代を通して心身に効果的であることはおそらく疑いの余地はないであろう。身体活動の減少は,喫煙,高血圧に次いで日本人の死亡に及ぼす危険因子とされており,さまざまな疾患の発症リスクを増大させる(Ikeda N, et al. 2011)。とくに,高齢期の日常生活における身体活動(physical activity)を促進することは,健康寿命の延伸を目指すうえでの重要な課題のひとつと考える。</p><p> 習慣的な運動や積極的な身体活動は,認知症の発症リスクを低減させることにも寄与するとされている。週3回以上の運動習慣(15分以上の運動:ウォーキング,ハイキング,サイクリング,スイミング,水中運動,有酸素運動や柔軟体操,筋力トレーニングやストレッチングなど)を有する者では,週3回未満の者に比べて認知症を発症する危険が約38%低かったことが報告されている(Larson EB, et al. 2006)。さらに,運動習慣が認知症の発症に及ぼす影響は,軽度から中等度の運動機能の低下を認めた高齢者ほど顕著であった。つまり,やや運動機能の低下が生じ始めた時期に,より意識的に身体活動を維持・向上しておくことの重要性を示している。また,日常的な運動習慣は,加齢による脳萎縮の抑制に対しても効果的であることが期待されている(Cabral DF, et al. 2019)。</p><p> しかしながら,身体的活動を増加させるほどに望ましいかについては慎重になるべきである。高齢女性16,741名を対象に1日の歩数と死亡発生との関連を縦断的に調べた報告によると,約7,500歩に達するまでは1日歩数の増加は死亡リスク低減と関連したが,1日10,000歩に達することの付加的な利得は認められなかった(Lee IM, et al. 2019)。</p><p> 一般的に健康的な心身機能を維持するためには週150分(1日30分,週5日間)程度の中強度程度(やや速歩き相当)の運動の実施が推奨されている(Nelson ME, 2007)。しかし,高齢者にとっては中強度以上の負荷を伴う運動はさまざまな障壁やリスクを抱えることも少なくない。低強度から中強度の運動による身体活動(週3回程度)であっても,将来の認知障害の発生が有意に低くなることが報告されており(Sofi F, et al. 2011),たとえ低強度から中強度程度の負荷の運動であっても習慣化することが高齢期の認知機能低下の予防に有効であるかもしれない。さらに,アルツハイマー病を発症する9~10年程度前から身体活動量が低下し始めるとされている(Sabia S, et al. 2017)。そのため,一時的に運動習慣を習得して身体活動量を高めるだけではなく,高めた身体活動量を維持する生活スタイルをいかにして確立するかがさらに重要である。</p><p> 日常におけるさまざまな活動には,身体的活動(physical activity)の他,知的活動(cognitive activity),社会的活動(social activity)などがあり,これらが高齢期における健康関連指標へ影響を及ぼすことが示唆されている。日常でこれらの活動をいかに多面的に促進していくかが健康長寿の鍵になると考えられ,理学療法には対象者の活動の多様性と継続性を支援することも重要な対策のひとつと考えられる。</p>
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 48S1 (0), C-61-C-61, 2021
Japanese Physical Therapy Association(Renamed Japanese Society of Physical Therapy)
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390571968053454336
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- NII Article ID
- 130008133563
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed