在宅療養者の感染症罹患の実態とその関連要因に関する文献検討

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タイトル別名
  • Infection rate and its risk factors among home-care patients -a literature review-

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抄録

療養の場が病院から在宅へと移行している現代社会において, 在宅療養者の感染予防策は急務である. そこで, 在宅療養者の感染症罹患の実態及び関連要因について明らかにし, 感染予防への示唆を得るために, 過去10年間の文献検討をおこなった. PubMedおよび医学中央雑誌より18文献を抽出した. その結果, 在宅療養者の感染症罹患の実態と関連要因に関して以下の3点の知見を得た. (1)全ての感染症を評価対象とした3文献において, 在宅療養者が起こしやすい感染症は, 呼吸器感染症, 尿路感染症, 創部・皮膚感染症であった. 関連要因は悪性腫瘍の存在, 在宅療養開始14日前の緊急入院歴, サービス開始90日以内であった. (2)血流感染を対象とした6文献において, 血流感染の罹患率は全体で1000カテーテル日あたり0.12-1.43であり, 関連要因はマルチカテーテルの存在や脂肪乳剤の投与であった. (3)尿路感染症を対象とした4文献において, 尿路感染の罹患率は1000カテーテル日あたり1.24-8.4であり,関連要因は女性, 膀胱留置カテーテルの存在であった. 今後, 日本の在宅療養者において, 感染症罹患率および在宅療養者の生活に根差した感染リスク要因を明らかにする研究の必要性が示唆された.

収録刊行物

  • 横浜看護学雑誌

    横浜看護学雑誌 11 (1), 1-11, 2018-03

    横浜市立大学医学部看護学科・大学院医学研究科看護学専攻

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