乳房構成自動解析ソフト(Volpara Density)を用いた定量的評価・判定の意義

  • 林 早織
    九州大学大学院臨床・腫瘍外科
  • 久保 真
    九州大学大学院臨床・腫瘍外科
  • 森 寿治
    ウェルネス天神クリニック乳癌診断センター・セレナーデ
  • 中村 雅史
    九州大学大学院臨床・腫瘍外科

書誌事項

タイトル別名
  • Significance of quantitative evaluation and assessment using automated volumetric breast density measurements software (Volpara Density)

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説明

マンモグラフィ検診の有効性に影響を与える一因として高濃度乳房が知られており,本邦でも2016年より議論が盛んに行われるようになった。高濃度乳房の問題は,乳癌の検出率が低下するマスキングリスクと,乳癌の発症が高くなることである。そのため,客観性・再現性を担保した乳房構成の評価は重要である。しかしながら,目視による判定では読影者内・読影者間で乳房構成の評価にばらつきが生じることが報告されている。そこで,画像化処理される前の RAW データから3次元的解析する Volpara 社の乳房構成自動解析ソフト(Volpara Density)を用いて,客観的に乳房構成の評価を行う研究を計画した。 【対象と方法】2021年2月より2022年9月に共同研究施設で施行されたマンモグラフィ23,447回分を対象とした。被検者は延べ8,350人であった。すべて女性で,年齢中央値は49歳であった。各 RAWデータから乳腺濃度(VBD)は数値化(%)され,a;3.5%未満=脂肪性,b;3.5~7.5%未満=乳腺散在,c;7.5~15.5%未満=不均一高濃度,d;15.5%以上=極めて高濃度に評価される。 【結果】VBD の平均は加齢とともに減少することが示された。また,Grade d(極めて高濃度)の割合も,年齢が上がるとともに減少した。 【まとめ】年齢の上昇によって VBD は低下していくことが客観的に明確となり,日本人における乳房構成の基礎データ(年齢別 VBD と Grade d 率)を得ることができた。Volpara Density は世界中で広く普及している診断ツールであり,大規模な研究を本邦においても導入を急ぐべきと考える。

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参考文献 (7)*注記

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