がん関連静脈血栓塞栓における血栓内がん細胞の存在

  • 魏 峻洸
    宮崎大学医学部病理学講座構造機能病態学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Intrathrombus cancer cells and expression of prothrombotic factors in cancer-associated venous thromboembolism

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説明

<p>がん関連静脈血栓塞栓症(がん関連venous thromboembolism: VTE)は,担癌患者における致死的な病態の一つであるが,血栓部位の病理学的検討は極めて少ない.本研究ではVTEの剖検症例を用いて病理組織学的検討を行った.がん関連VTEでは,約3割の症例で血栓中にがん細胞を認め,血管周囲組織からの直接浸潤によるもの,あるいは小集簇性に存在していた.また,血栓内がん細胞の約4割に腫瘍壊死を認め,ダメージ関連分子パターン(DAMPs)放出が示唆された.免疫組織化学では,血栓内がん細胞には,組織因子あるいはポドプラニンの発現を約9割に認めた.これらの結果から,直接浸潤による血管壁の破壊や経血流的に侵入したがん細胞が組織因子,ポドプラニン,DAMPsを発現することで,凝固反応・血小板凝集を促進し,がん関連VTEの病態に直接的に寄与することが示唆された.</p>

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