高難度膵臓移植に対する準備と実践

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説明

<p>膵臓移植に限らず高難度手術は、それがチームの力量の内にあると判断できる場合においてのみ行うことが許される。脳死下膵臓移植の難度は、レシピエントの待機状態、ドナー条件と臓器摘出術、bench surgery、レシピエント手術、そして術後管理といった多くの場面に依る。いずれかの場面で、通常求められるレベル、基準を大きく超えてくる場合、いわゆる高難度手術となる。</p><p>レシピエントの高度動脈硬化症例、高度肥満症例やグラフト血管再建を要する症例、小児ドナー症例、過大グラフト症例等は手技的難度を上げる。特に高度動脈硬化症例では、大きな術式の工夫を必要とする場面もある。一方で、偶発的な術中トラブルもその後の手術難度を上げる。</p><p>術前低心機能症例も術中、術後管理を困難とし、グラフト機能に影響を与える要素の一つである。心・脳血管障害の既往を持つレシピエントが多いことから、抗血小板薬内服症例も多く、易出血性の観点で問題となることも多い。</p><p>本邦における脳死下膵臓移植の歴史も四半世紀を迎えることから、今後二次移植症例への対応も増えてくることが予想される。手術難度を上げる要因となる一次移植膵グラフトの摘出が必要な場面も増えると考えられ、安全、迅速かつ効率的なグラフト摘出術を習得しておく必要がある。</p><p>当科実例を提示し、高難度膵臓移植症例に対するアプローチについて検討する。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 59 (Supplement), s217_1-s217_1, 2024

    一般社団法人 日本移植学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390585172428277632
  • DOI
    10.11386/jst.59.supplement_s217_1
  • ISSN
    21880034
    05787947
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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