炎症モデルマウスの血清メタロミクス解析およびセレン含有化合物の抗炎症作用の解析
書誌事項
- タイトル別名
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- Serum metallomics of inflammation model mice and anti-inflammatory effects of selenium-containing compounds
説明
<p> 感染症や炎症反応と生体内の微量元素は深く関与しており、例えば必須微量元素の一つであるセレンの血中レベルは炎症反応と逆相関する。また、セレン含有タンパク質であるグルタチオンペルオキシダーゼの分子ミメティクス (模倣剤;エブセレン) によってウイルス感染に伴う炎症反応を抑制することが可能であり、血中元素レベルを診断から治療に拡張・応用する事も検討されている。そこで我々は、LPS投与マウスのメタロミクス解析により炎症で変動する元素を同定し、治療介入可能な標的となる元素を探索するとともに、独自の抗炎症剤開発を目指した。 LPSによる炎症誘導モデルマウスの血清メタロミクス解析を実施し、肝臓における炎症性サイトカイン変動と血清中亜鉛、銅、セレン、カリウムなど金属元素・微量元素の変動が強く相関することを見いだした。また、炎症誘導により肝臓でのGPx1発現が低下すること、高用量LPSの投与により血清中セレンが減少することも確認され、セレンが炎症抑制における元素介入の候補と考えられた。そこで、100種を超える現有のセレン含有化合物ライブラリーを利用し、H2O2、過酸化脂質を基質としたカップリングアッセイで抗酸化活性を測定した。その結果、エブセレンより強い抗酸化活性を有する化合物を3種類発見した。これらは培養マクロファージにおいて酸化ストレスにより誘導される細胞死を抑制するとともに、培養マクロファージ細胞におけるLPS誘導炎症性サイトカインのレベルを抑制した。これら化合物は、化合物自身の有する抗酸化活性のみならず、細胞内で抗酸化因子GPx1の誘導作用を示した。マウスを用いた実験系でも、LPSによる炎症誘導を抑制する傾向を示すことが明らかとなった。以上、炎症誘導時におけるセレンの変化に応じ、同定したこれらのセレン化合物は炎症抑制剤創薬における有望なシーズであると考えられる。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 52.1 (0), P-49S-, 2025
日本毒性学会