キャリアの中断が生み出す格差

  • 麦山 亮太
    東京大学大学院人文社会系研究科 日本学術振興会

書誌事項

タイトル別名
  • Inequality Caused by Career Interruptions:
  • キャリアの中断が生み出す格差 : 正規雇用獲得への持続的影響に着目して
  • キャリア ノ チュウダン ガ ウミダス カクサ : セイキ コヨウ カクトク エ ノ ジゾクテキ エイキョウ ニ チャクモク シテ
  • 正規雇用獲得への持続的影響に着目して
  • Examining Persistent Effects upon Getting Regular Employment

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抄録

<p>キャリアの中断は, 個人の社会経済的地位を動揺させ, 格差を生成する契機である. 本稿の目的は, キャリアの中断による格差の生成過程を明らかにすることにある. 中断の効果を問うにあたり, 従来の地位達成モデルにもとづく分析は, キャリアの中断の効果が個人の異質性に由来するものか, その後の地位を低下させることに由来するものかを分離できないという点で不十分であった. そこで本稿では, 2005年SSM調査の職業経歴データから同一個人について複数時点の観察を作成しパネルデータ分析の手法を適用することで, 以上の効果を分離し, 中断がその後の正規雇用獲得確率に与える持続的影響を捉える. 加えて, 中断時年齢, 中断期間の長さ, 中断に至った理由によってキャリアの中断の効果が異なるかどうかについても検討する.</p><p>分析の結果, 個人の異質性を除いてもなお, 男性は20年弱, 女性は20年以上, キャリアの中断を経験することでその後の正規雇用獲得確率は低い水準にとどまることが示された. 男性はとくに30歳以上の壮年期においてその効果が強い. 女性は, 年齢・中断期間・離職理由による差異はあるものの, キャリアの中断はどの層にとってもその後の正規雇用獲得確率を持続的に低下させる契機となっている. さらに, キャリアの中断はより地位の低い個人が経験しやすいイベントであり, それまでの格差をさらに拡大させる役割を果たしている.</p>

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参考文献 (15)*注記

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