品質と安全性に配慮した紙製ストローの開発

  • 山本 准司
    日本製紙株式会社 研究開発本部 基盤技術研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Development of Quality- and Safety-considerate Paper Straws
  • ヒンシツ ト アンゼンセイ ニ ハイリョ シタ カミセイ ストロー ノ カイハツ

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説明

<p>近年の使い捨てプラスチック廃止の動きを受け,日本製紙では2018年8月に「紙化ソリューション推進室」を設置し,既存のプラスチック製品等を紙製に置き換える検討を開始した。紙製ストローは,「紙化ソリューション」に関する製品の一つである。開発を進めるにあたり,既存の紙製ストローの品質評価を実施したところ,耐水性,口当たり(臭い,味,唇への貼り付き)がプラスチックストローと比べ劣り,また接着剤やインキ成分が飲料に溶出しやすいため,飲料の味や見た目に影響を与える可能性があることが分かった。そこで,これら懸念点が解決するだけではなく,業界最高品質となるような処方を検討した。</p><p>検討の結果,口当たりの改善のためには最外層に高密度,高平滑度の原紙使用することが有効であることが分かった。また,スクリーニング評価を通じて,高耐水性,低溶出率の接着剤を見出した。上記原紙,接着剤を採用した紙製ストローは,30分間水へ含浸してもプラスチックストローとほぼ同等の強度を有しており,飲料への接着剤成分の溶出もほとんど無く,口当たりもプラスチックストローの近い品質を達成した。さらに,国内の食品衛生関連の安全性評価試験もすべてクリアした。</p><p>当社の紙製ストローは本年4月より販売を開始し,6月には飲食業界に初めて採用され,複数店舗で使用されている。</p>

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 74 (7), 723-726, 2020

    紙パルプ技術協会

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