ヒト血液を用いた精神疾患ミクログリア仮説解明のための橋渡し研究

DOI
  • 加藤 隆弘
    九州大学大学院医学研究院 精神病態医学
  • 扇谷 昌宏
    九州大学大学院医学研究院 精神病態医学 名古屋市立大学大学院医学研究院 統合解剖学分野
  • 瀬戸山 大樹
    九州大学大学院医学研究院 臨床検査医学
  • 久保 浩明
    九州大学大学院医学研究院 精神病態医学
  • 渡部 幹
    モナッシュ大学マレーシア校 経営学部
  • 康 東天
    九州大学大学院医学研究院 臨床検査医学
  • 神庭 重信
    九州大学大学院医学研究院 精神病態医学

書誌事項

タイトル別名
  • Human blood research of psychiatric disorders focusing on microglia hypothesis

この論文をさがす

抄録

近年,さまざまな精神疾患において脳内炎症,特に,脳内免疫細胞ミクログリア活性化がその病態生理に重要である可能性が示唆されている。筆者らは十年来ミクログリア活性化異常に着目した精神疾患の病態治療仮説を提唱してきた。ヒトでミクログリアの活動性を探る代表的な方法として死後脳の解析やPETを用いた生体イメージング技術が用いられている。しかしながら,こうした脳をみるというダイレクトな方法だけではミクログリアのダイナックで多様な分子細胞レベルの活動を十分に捉えることは困難である。筆者らは,採取しやすい患者の血液を用いて間接的にミクログリア活性化を分子細胞レベルで評価するためのリバース・トンラスレーショナル研究を推進してきた。例えば,ヒト血液単球から2週間でミクログリア様(iMG)細胞を作製する技術を開発し,幾つかの精神疾患患者由来のiMG細胞の解析を進めている。本学会誌では,すでにこうした研究による成果を幾度も報告しており,本稿では,筆者らが最近報告したうつ病患者のメタボローム解析の知見を後半に紹介する。

収録刊行物

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ