所有の「ある」と「もっている」

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  • Possessive Usage of Aru and Motte iru
  • ショユウ ノ アル ト モッテ イル

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抄録

所有をあらわす用法の「ある」と「もっている」とは、言い換えがきく場合も、きかない場合もある。たとえば「才能がある」「才能をもっている」はともに使えるが、「相談がある」は「相談をもっている」とは言えず、逆に「(この選手は)日本記録をもっている」は「日本記録がある」とは言えない。 本稿では、所有の「ある」が使われる条件、「もっている」が使われる条件をそれぞれ明らかにし、両者の使い分けについて説明を与える。要点は次の通りである。 (A) 所有の「X(に)はYがある」が使われる条件は、次のいずれかを満たすことである: [1]YがXに 〈その不可分な要素・一面〉 としてそなわっていて、「Yがある」ことが、Xの 〈属性〉 となっていること。 [2]「Yがある」ことが、〈Xの置かれた状況〉 を示すこと、あるいは 〈X(の行動)に影響を与える要因〉 として捉えられること。 (B)「もっている」が使われる条件は、次のいずれかを満たすことである: [I]〈その時点で、具体的なものを手の中などに所持している〉 こと。 [II]〈資産として、具体的なものや抽象的なものを所有している〉 こと。 [III]〈責任下にあるものとして負っている〉 こと。 とくに(A)については具体的に幾つかの場合に分けて、細かく検討する。

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