長期在宅補助人工心臓治療の”いま”と”これから”

  • 塩瀬 明
    九州大学大学院医学研究院循環器外科

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説明

<p>九州大学大学院医学研究院循環器外科塩瀬 明これまでの植込型補助人工心臓(VAD)治療は、心臓移植を目指す治療の一貫(BTT, Bridge to Transplant)として行われてきたが、2021年4月より心臓移植までの橋渡しを目的としない植込型VAD治療が始まった。海外で「Destination Therapy(DT)」と呼ばれるこの治療は、日本語で「長期在宅補助人工心臓治療」と称されている。DTでは、心臓移植に到達することが第一の目標であるBTTと異なり、患者・家族のQuality of Lifeの維持が重視される。すなわち、心不全を治療するという医学的要素に加え、医療機器であるVADと共に生きるという姿勢が、DTではより重要となってくる。VADは、治療効果とともに安全性を向上させながら大きく進歩してきた。一方で、デバイスに起因するトラブルやヒューマンエラーも含めて種々の合併症が、いまだ生じうるのも事実である。理想的な在宅管理の実現には、医学的進歩だけでなく機器面での性能向上も不可欠であり、これは患者に”やさしい”医療につながるものである。VAD治療は成熟期に入っているものの、現在進行形で発展を続けている医療である。医学・生体医工学のさらなるコラボレーションにより、これまで以上の発展を遂げることを期待している。</p>

収録刊行物

  • 生体医工学

    生体医工学 Annual61 (Abstract), 84_2-84_2, 2023

    公益社団法人 日本生体医工学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390861770520857600
  • DOI
    10.11239/jsmbe.annual61.84_2
  • ISSN
    18814379
    1347443X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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