雨庭の社会実装化に向けた実践的シナリオの検討

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タイトル別名
  • Considering a practical scenario for mainstreaming rain gardens in Japan
  • ウテイ ノ シャカイ ジッソウカ ニ ムケタ ジッセンテキ シナリオ ノ ケントウ

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説明

<p>都市化に伴う透水層(緑地や湿地など)の減少によって生態系サービスが劣化した結果,表面流水が増量するよう雨水循環経路が改変された.そして,気候変動によるゲリラ豪雨の増加により都市型洪水が深刻化している.既存の下水道システムは老朽化問題に直面しており,財政が逼迫している地方都市に新たに管渠を増設する費用を捻出することは困難である.欧米では雨庭と下水管渠を複合させた雨水処理システムが,経済的合理性が高いため主流化されている.本研究は,1)広島市デルタ市街地における雨庭の建設可能候補地を可視化し,その表面流水抑制効果を評価すること,2)雨庭の社会実装化に向けた政策課題について議論することを目的とした.GISを用いて,デルタ市街地における1)標高5 m未満,2)傾斜度1.1未満,3)地下水位2 m以深の条件を雨庭建設適地として抽出した.次に,その適地上の1)駐車場,2)緑地,3)砂地を抽出し,それらのスペースを雨庭化した場合の表面流水抑制量及びその雨水処理費の削減効果をシミュレートした.その結果,研究対象地において雨庭は,雨量強度20 mm/hの豪雨を処理することができる能力を内包していることが示唆された.本研究成果は,これからわが国で雨庭を含むグリーンインフラ政策を推進していく上での基礎資料として幅広く活用されることが期待される.</p>

収録刊行物

  • 景観生態学

    景観生態学 25 (1), 33-41, 2020

    日本景観生態学会

参考文献 (6)*注記

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