グローバル・ノースの「夜」と音楽

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  • ‘Night’ and music on Global North

抄録

<p>東京五輪(2021年)および大阪国際博覧会(2025年)という都市型メガ・イベント誘致にその一端が示されるように,2010年代はいわば「インバウンド観光の時代」であった。地域経済振興の鍵でもあるインバウンド観光は,大都市・地方都市や都市・自然の別なく国土全体で推奨されてきた。「夜」を未活用の時間とみなし,夜の時間−空間の経済的価値を再評価しようとする言説を「夜間経済(Night-time Economies)」と理解するのであれば,当該言説はグローバル・ノース都市間の動きと連動し,日本−海外の別なく現実に重要性を増しつつある。</p><p> 本シンポジウムは「音楽」という空間的領域性をもつ「形のないもの」に注目することで,都市—地方,社会—自然の二項対立を超えた議論を行うことを意図する。「音楽」は都市地域でのみ占有される遍在的文化資源ではないが,施設分布でみると都市域に集中する。歴史的にみて劇場やコンサートは欧米の伝統的都市文化と,ライブハウスやクラブは現代的文化や都市消費・アメニティと関連しながら発展してきた。他方で音楽のもつ性質(楽器種・空間と行動・ジャンル等)で考えると,とりわけ現代音楽は特定の施設に限定されず,国内都市—海外都市の個人的経験を軸に地方部へと広がり,あるいは自然地域を消費の舞台としながら,日本全体に広がる。目下,COVID19により「3密」の対象である音楽空間そのものの存続が極めて困難な局面を迎えるなか,本シンポジウムでは国内および海外の音楽に関連する経済−文化的活動に焦点を当てることで,夜の時間—空間を多角的に再考することを目的とする。</p><p> 本シンポジウムでは,他学会で開催した「地理学から「夜」を考える−都市社会と自然環境における夜−」(地理空間学会,2019年6月15日,発表6件)および関連する特集号から得られた知見と課題を踏まえながら,その後に得られた新たなデータを参照しつつも,地理学内外に進捗状況を公開し,さらなる発展的・批判的議論を構築したいと考えている。なお,オンライン環境を最大限活用し,シンポジウム当日は通常一同に会することの困難なグループメンバーを交えて議論を行い,民間企業の方や有識者の方々との意見交換も行う。また,後半ではヨーロッパの研究者1名の発表(英語)とその後の討論(英語のみ)も想定する。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1391412326427019392
  • NII論文ID
    130007949225
  • DOI
    10.14866/ajg.2020a.0_169
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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