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Music in Global North

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  • グローバル・ノースの音楽

Abstract

<p>東京オリンピック・パラリンピック開催予定の2021年に向けて先行きの不透明な状況が続くなか,2020年7月20日に観光庁により短期的観光戦略「観光ビジョン実現プログラム2020」が発表された。そこでは,経済的打撃の大きい観光関連産業における雇用維持,回復のための基盤整備,国内旅行需要喚起,インバウンド観光の回復が主軸として提示された(観光庁,2020年7月20日)。当該ビジョンにおいてとりわけ特徴的であるのが,地方都市振興と,国立公園を含む自然地域の利活用であり,リモートワークによる地方分散可能性が示唆されるなか,「3密」を回避できる自然地域は国内観光客のモビリティの向上に欠かせない地域としてだけではなく,投資促進の方策として期待されている点である。</p><p></p><p> こうした自然地域の利活用に向けた動きは,常設・仮設型イベントとして2010年代半ばより増えてきた(例えば,「GYOEN NIGHT ART WALK(2018年10月12・13日)」やカナダのデジタルアートMoment Factory社が手掛けるLUMINA事業等)。とりわけ,「夜間経済振興」のもと比較的容易に合意形成の可能な民間私有地と対照的に,国有地(新宿御苑,環境省管轄)で実験的に施行された夜型イベントでは,行政管轄の隔たりや管理に対する厳格さから実現までの道筋が容易でなかったという1)。他方で,これらは都市中心に立地する文化創造産業事業体(デジタル産業)−自然域の空間的連続性を明確化し,都市−自然の二項対立を超えた新しい空間の在り方を示唆する。目下,オンラインの空間領域が人間個人の私生活へとその領域を拡張するなか,物質的体験に価値のある観光産業の課題は,音楽空間のそれと類似する。そこで本発表では,グローバル都市の夜間経済と音楽との関係性を端的にまとめ,音楽と空間性を鍵概念に,都市と自然,日本と世界を繋ぐ存在としての音楽経済の可能性を電子音楽の特性を考察しながら探る。</p><p></p><p> 音楽/音は形のない非物質的的側面をもつが領域性を保持する。前者と後者の違いは曖昧であり,とりわけ機械的人工音をベースとする電子音楽は,具体的な「場所」と反応し,独自の空間性を生み出す。電子音楽は,クラシック音楽や楽器を要するロック音楽等と比較して,音響設備の整うコンサートホールや聖地として認知される特定のパフォーマンスの空間を必要とせず,空間的に遍在する。例えば,そうした空間性が建造物の歴史的意味と融合したベルリン市では,一定の旋律で言葉(意味)を有さないミニマルやハードテクノが主流化し,またベルリンという物質的場所と結びつきながら現在に至るまで電子音楽の生産—消費コアの機能を保続し続けている。翻って日本では,電子音楽は主流ではなく,そのために海外都市を拠点に活動するアーティストも少なくない。こうしたアーティストは日本−世界という空間的障壁を容易に超え,生産を続ける。それでもパフォーマンスにおいては,物質的場所を必要とする。元来の性質とあいまって,電子音楽は生産において時空間を超え,消費において夜−場所を求める。</p><p></p><p> 目下,COVID19により「3密」の対象である音楽空間そのものの存続が極めて困難な局面を迎えるなか,空間的に遍在可能な電子音楽は物資的生産−消費拠点を維持するため,オンライン配信等の方法で対応を継続し,あるいは密やかに地方都市や自然域でパフォーマンスを継続する。他方で人的移動が困難となった現在,Intra-nationalおよびIntra-regionalな地域間関係性が,電子音楽という非物質的経済−文化を媒介としてどのように変化しているのか,都市−自然の二項対立を超えて議論を構築したい。</p>

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Details

  • CRID
    1391975276380441856
  • NII Article ID
    130007949227
  • DOI
    10.14866/ajg.2020a.0_171
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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