「自閉症児の親」の構成

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タイトル別名
  • The Construction of “Parents of Children with Autism Spectrum Disorder” through Therapeutic Education:
  • 「自閉症児の親」の構成 : 療育の准専門家になることをめぐって
  • 「 ジヘイショウジ ノ オヤ 」 ノ コウセイ : リョウイク ノ ジュンセンモンカ ニ ナル コト オ メグッテ
  • Parents as Para-professionals
  • ──療育の准専門家になることをめぐって──

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抄録

<p> 本稿の目的は,自閉症と診断された子どもとその親に対する調査に基づき,療育を介して「自閉症児の親」が「療育を行う主体」として社会的に構成されていくあり様を描き出すことにある。<br> まず,療育記録を分析し,親が「自閉症児の親」として社会化されていく際に,療育はどのような働きを担っているのかを検討した。その結果,療育記録における療育者のコメントが社会化機能を果たしていることを示し,療育を開始した当初は,療育者と親との関係は啓蒙受容関係が強くみられるが,その後親は「准専門家」としての特性を備えていくことを論じた。<br> 次に,成長した子どもにとって療育に期待する親の存在はいかなる意味をもつのかを,インタビューデータを通して検討した。幼児期を中心に「できなさ」に障害が帰属されていた子どもは,その後の学校生活においては「問題がない生徒」と捉えられていた。しかし親は,子どもに「障害」があるという認識を維持し,一方の子どもは,親の理解枠組から抜け出せる可能性を示しつつも,親が家庭における療育的志向を強化していくなかで,子どもの自己理解が親の解釈に回収される様子を描き出した。<br> 以上から,「療育の主体」として障害の克服可能性の観点から子どもをまなざし,家庭で療育を貫徹させる親のあり方を「小さな療育者」として提示した。</p>

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