歯科医療の特異性(医歯一・二元論)の歴史と現在 : 「口腔医学」の創設・育成プロジェクトによせて

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  • "History of Specificity of Dental Medicine (Unification and Separation of Medicine and Dentistry) and its Current Status : For the Establishment and Cultivation Project of ""Oral Medicine"""

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抄録

"医歯一・二元論の論争は明治時代以来続いており,現在,文部科学省の助成金を得て推進されている「口腔医学の創設・育成プログラム」に焦点を合わせて問題点を整理した.榊原悠紀田郎は日本歯科医史学会第138回例会に「医歯一・二元論の軌跡」と題して私的メモを配布した.今回,その内容を確認し,口腔外科関連の事項を追加して年表を再編成した.要約すると1)明治時代以前;日本の歯科医業は,隣国,唐の影響力が強く,耳・目・口・歯の領域を行う口中医のほか,多くの呼び名(職種)があった.また歯科医学の父と言われているピエル・フォシャールは外科医で,歯科学を外科学より独立させ,後世に影響を及ぼした.一方,米国で最初の歯科医学校(ボルチモア)では,保存(充填)学と機械学の2科目のみで,技術(職人)教育であった.2)明治時代;明治の初め,東校(東大医学部)が設立されるが,ドイツ医学が採用された.その頃ベルリン大学には歯科学教室がなかったため,東校にも設立されなかったことが,国家医療(医学)政策から遅れた要因と思われる.3)医師法・歯科医師法制定(明治39年)以後;1906年医師法制定の頃,従来の歯科営業者を排除するため,鑑札制度を残して,歯科医師法が同時に制定された.その後,歯学(歯科医療)は独自の発展を遂げた反面,医科と歯科との境界領域における論争・紛争が見られた.一方,近年は時代背景から,医歯連携が行われ,医・歯一元論が必然的に論議されるようになったが,まずは歯科界の意思統一が前提の課題であると思われる."

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参考文献 (27)*注記

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