閉経後における卵巣腫瘍の臨床病理学的検討
書誌事項
- タイトル別名
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- Clinicopathological Analysis of Ovarian Tumor in Postmenopausal Women
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説明
閉経後の婦人に発生した卵巣腫瘍の診断, 治療について検討した. 対象は50歳以上の閉経後卵巣腫瘍230例である. 1. 99例(43.1%)が悪性腫瘍, 12例(5.2%)が境界悪性腫瘍, 119例が良性腫瘍であった. 2. 年齢は50~98歳に分布し, 平均61.9歳であった. 55~59歳に55例, 50~54歳に52例の症例が含まれていた. このうち良性腫瘍の年齢分布は50~98歳で平均62.9歳, 悪性腫瘍(境界悪性腫瘍を含む)では50~80歳に分布し, 平均60.9歳であった. 悪性腫瘍(境界悪性腫瘍を含む)の頻度は, 55~69歳では52~56%と高く, 70歳以上では26.2%とこれより低下していた. 3. 閉経後年数での比較では, 20年未満の例では悪性率が50%以上であるのに, 20年以上では27.2%と低下していた. 4. 組織像別では, 表層上皮性・間質性腫瘍の頻度が80.4%と高く, 良性群では粘液性腺腫, 次いで漿液性腺腫が多かった. 悪性群では, 漿液性腺癌が最も多く, これに次いで明細胞腺癌, 粘液性腺癌が多くを占めていた. 皮様嚢胞腫の悪性転化例が2例経験された. 5. 主訴は腹部膨満感59例, 腹痛49例, 腹部腫瘤感38例, 不正性器出血30例などであった. 無症状で, 検診時の内診で発見された症例は44例であったが, 悪性腫瘍の頻度は腹部膨満感を除いて有意に低かった. 6. 176例では超音波断層法により腫瘍径が計測されていた. 7cm未満が18例, 7~10cmが32例, 10cm以上が125例であり, それぞれの悪性腫瘍頻度は, 66.7%, 37.5%, 45.6%であった(前2者間:p<0.05). 7. 閉経後卵巣腫瘍においては悪性腫瘍の頻度が高く, 直径7cm未満の悪性腫瘍も経験されることから, 7cm未満の腫瘤であっても画像診断, 腫瘍マーカーなどで精査する必要があり, 積極的な治療が望ましい.
収録刊行物
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- 日本産科婦人科學會雜誌
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日本産科婦人科學會雜誌 49 (9), 727-731, 1997-09-01
日本産科婦人科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1543105995126755328
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- NII論文ID
- 110002112652
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- NII書誌ID
- AN00190060
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- NDLデジコレ(旧NII-ELS)
- CiNii Articles