15. EXPERIMENTAL AND THEORETICAL APPROACHES TO IRIDESCENT LABRADORITE :

  • 三浦,保範
    Department of Mineralogical Sciences and Geology, Faculty of Literature and Science, Yamaguchi University
  • 富阪,武士
    Department of Mineralogical Sciences and Geology, Faculty of Literature and Science, Yamaguchi University
  • 加藤,敏郎
    Department of Mineralogical Sciences and Geology, Faculty of Literature and Science, Yamaguchi University

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抄録

斜長石のうち,iridescent labradorite(カナダ産)について,その実験結果に基づき,2種のラメラの周期的積重なりの構造による干渉色現象への理論的アプローチを行った。Pericline-type twinのと,albite twinの葉片双晶からなる試料の超顕微鏡的ラメラの電顕観察(レプリカ法,透過法)により,ラメラ幅を測定した。その試料のEPMAによる分析とスペクトル分布の測定を行った結果,今までに報告されているBφGGILD's ruleが成り立つことが分った。また,分析不可能とされていた1000Åオーダーの互層ラメラの組成について,Analytical EMによるエネルギー分布の測定の結果・2種のラメラに組成差があることが分り,これによりBφGGILD intergrowthが直接,実験的に確認された。以上の実験結果から,iridescent labradoriteの2種の相の光学的不均質による干渉色現象を理論的に考察した。理論的アプローチはH.C.BOLTON et al.(1966)によって報告された方法を拡張して,ラメラ構造のcomputer simulation modelから,ラメラ層厚:d(Å)と色:λ(Å)との間に,λ=3.128×(d)-47.798(σ=0.999)なる回帰式が成りたつことが分った。そのモデルに電磁場論を応用して入射光のラメラ層による挙動を論じて計算した結果,誤差範囲内で上記のモデルに一致することが分った。その実験データを良く説明しうるラメラ構造のモデルを使って,BφGGILD intergrowthにおける各ラメラ層厚の変化を計算したところ,各々異った挙動を示すことが分った。そのラメラ構造の出発点,消滅点そして逆転する点のAn (mol%)合有量は,天然において出現頻度の高い組成の点(kink points)と,ほぼ一致している。上記のλ-dの回帰式を用いると,今まで断片的に報告されている1000Åオーダーのラメラ構造(類似層も含めて)をもつ鉱物(peristerite, cryptoperthite (moonstone)そしてopal)におけるiridescenceも同様に説明できる。が,その層の積み重なりの規則性はlabradoriteほどでなく,試料中に別の周期的ラメラ(類似)層が混在すると,それに応じて色も多様化すると思われる。従ってiridescent labradoriteは,その超顕微鏡的ラメラの積み重なりの規則性が顕著であり,このようなラメラ構造による干渉色現象を定量的に説明できる最も典型的な鉱物と思われる。

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