【7/12更新】2022年4月1日からのCiNii ArticlesのCiNii Researchへの統合について

有害渦鞭毛藻Heterocapsa circularisquamaに関する生理生態学的研究(2)

書誌事項

タイトル別名
  • H. circularisquamaの毒性および貝類斃死機構の解明

この論文をさがす

抄録

渦鞭毛藻Heterocapsa circularisquamaは1988年に日本で初めて赤潮を形成し、その後急速に西日本全域に拡大して貝類養殖業に甚大な漁業被害をもたらすようになった新興赤潮生物である。本研究はH. circularisquama赤潮が二枚貝や巻貝に及ぼす毒性を明らかにするために取り組まれたものである。まず、H. circularisquamaの水産生物に与える影響を調べたところ、本種は二枚貝や巻貝に致死的な作用を及ぼすものの、魚類、甲殻類、その他の生物に対する影響は全く認められなかった。貝類の斃死は酸素欠乏や硫化水素などの発生が認められなくとも起こり、貝類の組織とH. circularisquamaが接触する際に悪影響が生じていた。二枚貝に対する致死活性は1,000cells/mL以上で認められ、4000~6000cells/mLを越えると数日中に半数の個体が斃死する。培養株を用いた試験でも同様の結果が得られ、H. circularisquamaが貝類に対して直接毒性を示すことが判明した。H. circularisquamaの毒性は超音波や遠心分離で容易に失われることから、毒素は細胞表層に含まれ、物理化学的に不安定な物質であると考えられた。また、界面活性剤であるSDSやトリエタノールアミン、タンパク質分解酵素であるトリプシンなどに感受性を示し、タンパク質や糖鎖の合成阻害剤も毒性を有意に低下させた。このことから、毒性は糖蛋白質様物質に由来するものと推察された。H. circularisquamaは化学的レセプターを多数有している巻貝の筋肉に作用すること、二枚貝未受精卵外皮を短時間で崩壊させることなどから、原因物質はレセプターや膜の構造を破壊する分解酵素のようなものではないかと推察された。影響を受けた貝類は細胞内に多量のカルシウムが流入しており、これにより生理的なかく乱が生じて細胞や組織の恒常性が崩壊しているものと考えらる。H. circularisquamaの毒性を低減する方法としては、遠心力負荷などによる物理学的処理、SDSを用いた化学的処理などが有効であったが、コストと環境負荷の点から改良が必要であった。また、珪酸塩の散布によって競合者である珪藻を賦活させる方法も特定の条件下では有効であった。生物学的な防除法としては、ホヤなどろ過食性付着生物を利用した防除法が有望であると判断された。

identifier:690838

identifier:ZZ20003079

収録刊行物

被引用文献 (0)

もっと見る

参考文献 (0)

もっと見る

関連論文

もっと見る

関連研究データ

もっと見る

関連図書・雑誌

もっと見る

関連博士論文

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

関連その他成果物

もっと見る

詳細情報

ページトップへ