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日本農業における持続的リン利用の可能性

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抄録

type:論文

今の日本では,多くの人々が都会に住んでおり,農業とは無縁の生活を送っている。都会に住んでいれば,園芸が趣味の人でもない限り,化学肥料に触れることは稀である。これからお話するリン酸質肥料は,リン鉱石を原料として製造された化学肥料である。リン酸質肥料は誰でも自由に手に入れることができるので,都会に住む人々はもちろんのこと,農業に係わる者ですら気に留めてこなかった。希少価値があるものは多くの人々を強く引きつけるが,汎用品は地味で目立たない。しかし,リン鉱石が発見される以前には,海鳥の糞が堆積してできたグアノが注目の的であった。この希少なリン資源は,主にペルー沖の太平洋島嶼にあって,19世紀のペルー経済を支える重要な輸出品であった。しかし,グアノを巡って激しい争奪戦が繰り広げられた結果,1900年頃には,ほぼ枯渇してしまったのである(高橋 2004)。持続的リン利用(sustainable phosphorus use)とは,1) リンの損失を減らして,2) 環境への影響を最小限にとどめ,3) 食料の安全保障を高めることである。鉱山から食卓に至る過程で多くのリンが失われており,採掘されたリンの約20%が最終的に人々の口に入ると試算されている(Cordellら 2009)。リンの損失を最小限にすることで,リン資源の枯渇と河川・湖沼などの富栄養化に同時に対処できるのである。欧米には,窒素・リンによる環境汚染問題に取り組んできた長い歴史があり,高度の水処理技術がある。しかし,欧米のリン回収・資源化については,「技術はあっても使われない現状を打破しようとして,社会や経済のシステムを変えようとする議論が行われている(大竹2013)」。一方,日本では,リン回収・資源化ビジネスが急速に進展している。

identifier:872247

identifier:ZZ00014870

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