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『ボヴァリー夫人』における語られる身体 : エンマの身体描写に見られるジェンダー意識に着目して

書誌事項

タイトル別名
  • The Narration on Madame Bovary's Body : A gender-conscious description of Emme's body
  • ボヴァリー フジン ニ オケル カタラレル シンタイ エンマ ノ シンタイ ビョウシャ ニ ミラレル ジェンダー イシキ ニ チャクモク シテ

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抄録

本論文は、ギュスターヴ・フロベール著『ボヴァリー夫人』を取り上げ、主人公エンマに向けられた視線の中にどのようなジェンダー意識が存在するのかを分析し、エンマの身体描写を通じて、小説の背景である七月王政期における女性の身体に対するジェンダー意識を解明することを目的としている。エンマを見る男たちのまなざしを調べてみると、シャルルは「妻」として、ロドルフは「遊び相手」として、レオンは「理想的な天使のような女性」としてエンマを類型化し、ステレオタイプの女性観の中に位置づけようとしていることが分かる。男たちの視線は、エンマを「自分たちの見たいように見る」という身勝手なものでありエンマの身体を拘束するものである。つまり、男たちのエンマに向ける視線は、七月王政期の男性優位の社会規範を体現しているのである。しかしながら、エンマは男たちのまなざしによる拘束から逸脱しようとする。多くの女性たちが男性の視線にさらされ、評価される客体にしかすぎなかった社会規範の中にあって、エンマは自らを類型化しようとする男たちの視線を受容するだけの女ではなかったのである。エンマは男たちの視線がもたらす閉塞感から逃れようと葛藤し、男性優位社会に挑戦し、結果として失敗した。エンマの挑戦が悲劇的な結末を迎えたのは、当時の社会における女性の挑戦の限界を示すものだろう。本稿における男たちの視線の分析を通じ、『ボヴァリー夫人』は、「七月王政期の社会通念や男性優位の規範を内包した男性たちの視線の拘束からの解放に挑戦し、失敗した一人の女の物語」という新しい読み方を提案できるのではないだろうか。

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