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自我機能の発達と病態化の研究(その1) : 自我機能の測定尺度の開発

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タイトル別名
  • Development and pathological changes of ego-functions(1) : In search of assessment-scale ofego-functions

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抄録

力動精神医学において,「自我」は人格の重要な構成基準であってさまざまな精神機能をつかさどる機関として考えられている.その自我機能の評価は,病態を把握し,治療の見通しを立てる上で,重要な手がかりとなるものである.よって,これまでにも多くの研究者たちがU一ルシャッハ・テストなどの投影法,質問紙,面接などを用いて,自我機能を評価・測定する方法をさまざまに提案してきた.その中でも特に中心的な研究は,Bellak,L.(1969,1973)のものである。Bellakは自我機能を12に分類し,臨床的面接,実験的手続き,既成の心理研究という3つの手続きによって詳細な自我機能の評価を試み,精神分裂病患者,神経症患者,正常者の比較研究を行った.このBellakの臨床的面接の質問項目を質問紙形式で取り入れ,正常から境界例に至る一般の中・高生の自我機能の評定と再適応の能力の評価を行い,指導や治療の指針を得ることを目的にして作成されたのが,中西・古市(1981)のEF1-2である.EF1-2は信頼性・妥当性について検討がなされ,標準化が行われているにもかかわらず,臨床の現場では未だ普及に至っていないのが現状である.そこで,自我機能の測定尺度について,われわれはまず以下のような問題点と今後の課題を検討した. 一つには,EF1-2はBellakの自我機能の枠組みに沿って作成されているが,そもそもBellakの枠組みをそのまま日本に適用することには無理があるのではなかろうか.むしろ,日本での臨床的な経験を踏まえて,自我機能の測定尺度を作成する必要があるのではないか.すなわち,Bellakの分類にこだわらず,例えば,「同一性」のような病態の把握にとって重要と考えられる下位尺度を盛り込む方が有用である. また,Bellak,中西・古市,いずれの研究においても,自我機能の1下位分類である防衛機制についてはその全般的な機能水準を問題としており,個々の防衛機制の種類は捉えられていない.個々の防衛機制を測定する質問紙も別に考案されているが(DSQ:Bond,Gardner,Christian&Sigal 1983,Bond 1986,申西 1998),他の自我機能と共には検討されていない.個々の防衛機制のあり方と自我機能との関連を同時に調べることがきわめて重要であると考えられるので,「防衛機制」についてはその種類も取り上げ,より詳細な項目で構成されるべきであろう. 以上の点を踏まえて,本研究は,新たな自我機能の測定尺度を作成することを試みるものである,また,今後,測定された自我機能を対象にして,その発達過程(その2)と病態化(その3)についても研究を展開していく予定であるが,本研究は,その一連の研究の第一段階に該当する.

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