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小規模採草地における地上無脊椎動物相(1)

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タイトル別名
  • 無脊椎動物群集の構成及び主な種の密度変動

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抄録

盛岡市下厨川の東北農業試験場内に1964年に造成した,オーチャードグラス,ラジノクローバ,オーチャードグラス・ラジノクローバ混播,アカクローバ,及びアルファルファの春播き採草地において,地上部の無脊椎動物相を,枠法によって調査した。調査は原則として4~10月の間に12回実施し,オーチャードグラス及びラジノクローバは造成直後から4年間継続したが,他の草種については中途で打ち切った。年間に採集された無脊椎動物の合計値について,草種,造成後年数,刈取回数,及び年間の平均現存草量との関係等を検討し,次の結果を得た。1. 年間に採集された無脊椎動物の総種数及び総個体数は,現存草量の指数に対して正の相関を示した。調査値から求めたMARGALEFの多様度指数は種数との間に正の相関を示したのに対し,SIMPSONの多様度指数は総個体数との間に負の相関を示し最優占種の占有率が高まるにつれて低下した。WHITTAKERの類似度指数によって検討した結果,無脊椎動物の群集構成は,造成後に年数を経過するにつれて変動し,4年目には,初年目との間に,草種間の差に匹敵するほどの差を生じた。刈取りに伴う群集構成の変動は,草種による差異ほど大きくなかった。2. 個体数の占有率は,一般に肉食性の種群が最高であり,平均45%強に達し,その主体をなすものはクモ類であった。腐食性の種群は平均30%内外を占め,その主体はトビムシ類であった。牧草害虫の占有率は平均20%強に過ぎず,畑作物圃場でほとんど常に害虫が90%以上を占めることとは極めて対照的であった。しかし,害虫の占有率は年次変動が大きく,特定の害虫が異常に増殖した場合には60%にも達することがあった。種別の優占順位が5位以内に入る頻度が高かったものは,肉食性または腐食性の種であった。なお,肉食性の種群の占有率は,SIMPSONの多様度指数がある限界以上の場合には一定の水準を保つ傾向があり,指数がこれ以下になると著しく低下した。3. 害虫を種別にみると,一般に生息密度がイネ科またはマメ科のいずれかにおいて高い傾向があり,全草種に多発したものは極めて少なかった。また,少数ながらオーチャードグラス及びマメ科の特定の草種に発生する害虫も認められた。害虫以外では,草種によって生息密度が異なる種は少なかった。種ごとの生息密度の年次変動は6類型に大別された。優占順位が比較的上位を占めた害虫は,牧草が軟弱な初年目に集中的に発生するもの,密度が経年的に高まって多発状態に達するもの,または,気象条件によって突発的に多発するものであった。4. 以上の結果に基づき,無脊椎動物群集の構成と害虫多発の関係について考察し,群集構成の多様度の低下は特定の害虫の独占的な増殖によって生じること,群集構成要素間の拮抗作用によって増殖を抑制され難い種が草地の主要寄虫となるであろうこと等を指摘した。

identifier:250188

identifier:ZZ00014175

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