小学生のヨーグルト・乳酸菌飲料摂取とアレルギー感作・アレルギー疾患との関係

  • 鈴木 洋一
    千葉大学大学院医学研究院環境医学講座公衆衛生学
  • 真下 陽一
    千葉大学大学院医学研究院環境医学講座公衆衛生学
  • 井上 寛規
    千葉大学大学院医学研究院環境医学講座公衆衛生学
  • 船水 真紀子
    千葉大学大学院医学研究院環境医学講座公衆衛生学
  • 羽田 明
    千葉大学大学院医学研究院環境医学講座公衆衛生学
  • 下条 直樹
    千葉大学大学院医学研究院小児病態学
  • 河野 陽一
    千葉大学大学院医学研究院小児病態学
  • 岡本 美孝
    千葉大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科学

書誌事項

タイトル別名
  • ショウガクセイ ノ ヨーグルト ニュウサンキン インリョウ セッシュ ト アレルギー カンサ アレルギー シッカン トノ カンケイ

この論文をさがす

抄録

【背景】プロバイオティクスのアレルギー疾患予防効果の可能性が期待されている.ヨーグルト・乳酸菌飲料を摂取している小児ではアレルギー感作やアレルギー疾患発症が少ないという報告があるものの,評価はいまだ確立していない.【方法】都市部の小学生472名を対象に,ヨーグルト・乳酸菌飲料の摂取の有無と摂取量,納豆の摂取状況,アレルギー疾患の有無についてアンケートによる調査を行った.血清の総IgEと6種の特異IgEを測定した.【結果】対象者をヨーグルトや乳酸菌飲料の1週間あたりの摂取量で4群に分け,摂取量とIgE値,アレルギー疾患有病率との相関を見ると,ダニ特異IgE値とカモガヤ特異IgEの陽性率は多量摂取群で高い傾向があった.背景因子で補正したオッヅ比(OR)とその95%信頼区間(Cl)はダニで2.20,1.11-4.40,カモガヤで2.14,1.07-4.30であった.卵白特異IgE値陽性率は少量(OR: 5.08; Cl: 1.68-15.37),中等量(OR: 6.45; Cl: 2.21-18.89),多量摂取群(OR: 3.50; Cl: 1.15-10.63)のいずれも非摂取群に比べ有意に高かった.喘息の罹患率は中等量摂取群が無摂取群より低かった(OR: 0.21; Cl: 0.05-0.83).他のアレルギー疾患の罹患率へのヨーグルト・乳酸菌飲料摂取量の影響は認められなかった.以上の結果は,ヨーグルト・乳酸菌飲料の摂取が単純にアレルギー感作とアレルギー疾患発症を予防するという仮説を積極的に支持するものではなかった.納豆の摂取は,アスペルギルス特異IgEとの相関を示したが,アレルギー疾患との相関は無かった.【結論】ヨーグルト・乳酸菌飲料の摂取量は,特異IgE産生と喘息の発症との相関を示した.しかし,摂取量を増やせばアレルギー感作とアレルギー疾患発症を予防する効果が大きくなるという単純な関係ではないことが示唆された.

収録刊行物

  • アレルギー

    アレルギー 57 (1), 37-45, 2008

    一般社団法人 日本アレルギー学会

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (20)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報

問題の指摘

ページトップへ