大腸癌に罹患するリスクの認識に及ぼす大腸癌家族歴の影響 − S 市におけるアンケート調査から−

DOI
  • 鄭 迎芳
    東京大学大学院医学系研究科 健康科学・看護学専攻 健康学習・教育学分野
  • 齋藤 民
    東京大学大学院医学系研究科 健康科学・看護学専攻 健康学習・教育学分野
  • 高橋 都
    東京大学大学院医学系研究科 健康科学・看護学専攻 健康学習・教育学分野
  • 矼 暎雄
    矼労働衛生コンサルタント事務所
  • 甲斐 一郎
    東京大学大学院医学系研究科 健康科学・看護学専攻 健康学習・教育学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Influence of Family History on Perceived Susceptibility to Colorectal Cancer: a Surveyof Community-Based Colorectal Cancer Screening Participants

この論文をさがす

抄録

目的:大腸癌の家族歴(第1 度近親者と限定した)保有者と非保有者との比較を通じ,家族歴保有者の大腸癌に罹患するリスクの認識(以下,リスクの認識)を把握し,家族歴の有無とリスクの認識との関連を明らかにすることを目的とした. 方法: 2003 年10 月長野県S 市において大腸癌検診を受けた426 名の受診者を対象とし,無記名自記式質問紙調査を実施した(分析対象387 名).分析項目は,「リスクの認識」,「大腸癌家族歴」,「健康状態」,「健康への関心度」,「大腸癌検診歴」,「日常健康行動」,「大腸癌のリスク因子に関する知識」,「特性不安」および基本的属性を用いた. 結果:家族歴保有者は56 人(14.5 %)であった.「リスクの認識」の得点は,家族歴保有者(8.2 ± 2.6)が非家族歴保有者(6.3 ± 2.7)より有意に高かった(p < 0.001).家族歴保有者で「リスクの認識」を構成した3 項目すべてに「そう思わない」あるいは「あまりそう思わない」と回答したのは18.5 %であった.重回帰分析の結果,リスクの認識と家族歴との双方に10 %未満の水準で有意に関連する変数の影響を調整してもなお,家族歴はリスクの認識に有意に関連していた(β= 0.222, p < 0.001). 結論:本研究の結果から,リスクの認識と大腸癌の家族歴の間に有意な関連が認められた.今後,大腸癌の罹患における家族歴などのリスク要因に関する正しい認識を普及させることにより,家族歴保有者における大腸癌検診受診率の向上が期待できる可能性が示された.

収録刊行物

  • 家族性腫瘍

    家族性腫瘍 5 (2), 98-104, 2005

    一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ