連鎖反応によって進行する重縮合の開発
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- 横澤 勉
- 研究代表者
- 神奈川大学
研究課題情報
- 体系的番号
- JP07805084 (JGN)
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
科研費情報
- 研究課題/領域番号
- 07805084
- 研究種目
- 基盤研究(C)
- 配分区分
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- 補助金
- 審査区分/研究分野
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- 工学 > 工業化学 > 高分子合成
- 研究機関
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- 神奈川大学
- 研究期間 (年度)
- 1995 〜 1996
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 2,000,000 円 (直接経費: 2,000,000 円)
研究概要
これまでの高分子合成において、重縮合は逐次的に反応が進行するため生成高分子の分子量規制は困難とされてきた。我々は重縮合が付加重合や開環重合と同様に連鎖的に進行すれば、アニオンまたはカチオンリビング重合のような不安定な生長種を経由しないで容易な重合操作で分子量規制された高分子が得られると考えた。このような連鎖反応で進行する重縮合の成否の鍵は、求核部位と求電子部位を持つモノマーが開始剤と反応した際にもう一方の反応部位をいかに未反応モノマーより活性化するかにある。我々はモノマーの求核部位が反応すると電子求引基が生成し、もう一方の求電子部位が活性化されることを基本戦略として連鎖重縮合可能なモノマーを設計および合成し、連鎖重縮合の概念を一般化することを目的とした。芳香族ポリエステル合成を1つの目標として次の2つの連鎖重縮合を検討した。 4-トリメチルシロキシ安息香酸塩化物誘導体のフッ化物イオン触媒による重合を検討した。その結果、モデル反応ではモノマー間の反応より選択的に生長末端塩化物と反応することを明らかにした。しかし重縮合ではポリマーの溶解性が低いため重合中にポリマーが析出し、連鎖性を評価できなかった。現在、溶解性を向上させた長鎖アルキル基を導入した誘導体を合成中である。 次に4-ブロモ-3-オクチルフェノールをモノマーとしてPd触媒を用いた一酸化炭素挿入重合を検討した。モデル反応から生長末端モデルに選択的にエステル結合が生成することを明らにした。また副反応としてエステル交換反応が起こることも見いだした。エステル交換反応を抑制するため、モノマーを開始剤およびPd触媒中にゆっくりと滴下して重合を検討した。その結果、重合後期はエステル交換反応が抑制できず、分子量の低いポリエステルが生成したが、重合初期には開始剤から連鎖重合が進行していることを明らかにした。