社会的結合としての行基集団に関する基礎的研究
-
- 新川 登亀男
- 研究代表者
- 早稲田大学
研究課題情報
- 体系的番号
- JP08610347 (JGN)
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
科研費情報
- 研究課題/領域番号
- 08610347
- 研究種目
- 基盤研究(C)
- 配分区分
-
- 補助金
- 審査区分/研究分野
-
- 文学 > 史学 > 日本史
- 研究機関
-
- 早稲田大学
- 研究期間 (年度)
- 1996 〜 1997
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 2,100,000 円 (直接経費: 2,100,000 円)
研究概要
行基集団の社会的結合がどのようになされ、その性格がいかなるものであったかを解明するには、いくつかの方法がある。第一は、文字資料の蒐集と分析であり、第二は、歴史的環境の調査および踏査である。しかし、さらに、「知識」をキーワードにして、同時代の、同地域の「知識」や歴史的な「知識」の結合形態、および東アジアの「知識」等との比較検討も必須である。そこで、本報告では、以下のことを明らかにすることにつとめたい。 まず、主要な行基集団の文字資料集成をおこなう。それは、正史、律令格式、古文書、文字瓦、金石分、木簡、写経跋文、縁起などに及ぶ。ただし、伝承的資料は、基本的に除くが、必要な範囲でとりこむことにした。このうち、基本的資料として、これまで用いられたきたものに「行基年譜」があるが、流布本には錯誤が多くみられ、必ずしも正確な活用がなされてきたとは言いがたい。そこで、旧彰考館本を底本にして、校訂を施し、あわせて他の諸資料と照合しながら、補注をも加えることにした。そして、今後の研究に資することを企図した。 ついで、「知識」をキーワードのして、とくに天平三年の和泉監知識経跋文の分析を試みる。この写経の所蔵を確認して、流布本(刊本)の錯誤を正し、同時期の知識写経や先行する同地域の知識結合を比較検討する。そのさい、河内や大和にまたがる法隆寺関係の知識、河内国西し琳寺の知識、河内国大県郡周辺の知識にも論及し、用いられた経論の性格や特徴にもる留意する。あわせて、新羅元暁の宗教活動と社会的結合をも考慮したい。